半導体市場はこれまで、需要増を受けた増産が供給過剰を招き、価格下落や設備投資の抑制につながる「シリコンサイクル」を繰り返してきた。ところが生成AIの急速な普及によって、この波の形が変わる可能性が出てきた(関連記事)。

AIサーバーではGPUだけでなく、HBMなどの高性能メモリー、先進パッケージング、高速通信など幅広い半導体技術が必要になる。さらにAIがPC、自動車、ロボット、工場などへ広がれば、半導体需要の裾野は一段と広がる。従来のPCやスマートフォンの買い替え需要とは異なり、AIは社会全体で使われる「計算量」そのものを押し上げる可能性がある。
だからといって、シリコンサイクルがなくなるとは言い切れない。需要を見込んで各社が一斉に設備を増強すれば、いずれ供給過剰になる可能性は残る。むしろ今後は、GPU、メモリー、先進パッケージング、成熟プロセスなど、それぞれ異なるタイミングで需給の波が起こる市場になるのかもしれない。
つまり、AIによって「波が消える」というより、半導体需要の水準そのものが高まり、その上に複数の波が重なる――そんな市場への変化が始まっていると見ることもできそうだ。
光産業にとっても、この変化は見逃せない。半導体の微細化や三次元化が進めば、露光、検査、計測、レーザー加工の重要性は増す。さらにAIデータセンターでは光インターコネクトやシリコンフォトニクスへの期待も高まる。次の成長点がどこに現れるのか。半導体市場の「波の変化」は、光技術の新たな商機を考える手掛かりにもなりそうだ。



