スマートグラスやARディスプレイ、センシング、さらには核融合エネルギーまで、光デバイスの応用領域は広がっている。九州大学総合理工学研究院の濱口達史教授は、VCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)を中心に次世代光デバイスの研究に取り組む。その研究の現在地と、光技術が拓く可能性について聞いた。

可視光VCSEL の可能性
小さな光源の可能性
─現在の研究から
私たちの研究室では、次世代の半導体レーザーを中心に研究しています。第一に力を入れているのが、GaN系材料を用いたVCSELです。VCSELはVertical-Cavity Surface-Emitting Laserの略で、日本語では垂直共振器型面発光レーザーと呼ばれます。通常の半導体レーザーはチップの端面から光を出しますが、VCSELは基板に対して垂直方向に光を出すのが特徴です。
面発光であるため、円形に近いビームが得やすく、二次元アレイ化もしやすいという利点があります。赤外領域ではデータ通信や顔認証などで広く使われていますが、可視光領域、特にGaN系材料を使ったVCSELは、まだ研究開発の余地が大きい分野です。ここを進めることで、ウェアラブルディスプレイや小型光源、センシングなど、新しい応用につながると考えています。
─ GaN 系VCSEL が注目される背景は
GaN系材料は、青色LEDや青紫色レーザーで発展してきた材料です。青から緑にかけた可視光領域を直接発光できるため、ディスプレイや照明、計測などに向いています。もしGaN系VCSELを安定して作ることができれば、小型で高効率な可視光レーザー光源として、大きな可能性があります。
例えば、ARグラスやスマートグラスでは、装置全体を軽くし、消費電力を抑えながら、明るく鮮明な表示を実現する必要があります。その光源として、面発光でアレイ化しやすいVCSELは有力な候補になります。さらに、赤、緑、青の光源を半導体レーザーとして構成できれば、フルカラーの小型表示デバイスにもつながります。
VCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)
Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser の略。半導体基板に対して垂直方向に光を出すレーザーで、端面から光を出す一般的な半導体レーザーと異なり、チップ表面から発光する。円形に近いビームが得やすく、二次元アレイ化に適しているため、通信、センシング、認証、ディスプレイ光源などへの応用が期待されている。



