大阪大学接合研究所と島津製作所、DOWAパワーデバイスは共同で、青色レーザーによるマルチビーム積層造形法を利用した銅-窒化アルミニウム(Cu-AlN)基板の実用化に成功した(ニュースリリース)。発表によれば、これは窒化アルミニウム(AlN)の基板に青色半導体レーザーを多方向から銅粉末に同時照射することで、絶縁不良の原因となる銀を用いずに銅電極を直接コーティングを可能する、世界初の技術だとしている。

近年、高い性能を持つパワー半導体デバイスの開発が進む中で、デバイスが発する熱を効率的に制御する技術が求められており、優れた熱伝導性と絶縁性を併せ持つCu-AlNは、主にパワー半導体デバイスの放熱用絶縁体として利用されてきた。しかし従来の接合方法では、銀を含むろう材を用いた高温接合が一般的であったため、製造時間の長さや、変形や亀裂、接合部の剥離などの原因となる残留応力、そして高温・高湿度・高電圧環境下で銀が移動して意図しない導通経路を形成し、絶縁信頼性を低下させる銀マイグレーションによる影響が課題となっていた。
これらの課題を解決するため開発されたマルチビーム積層造形法は、任意形状の銅回路とセラミックスを、強固かつ低残留応力で銀を用いずに接合できる技術である。使用される青色半導体レーザーは、金属に対する光吸収効率が高く、純銅材の加工に適している特徴を持つ。
実用化された基板は、高い放熱性能を実現するだけでなく、低温と高温を繰り返し与えた際の劣化耐性を示すヒートサイクル耐久性が従来の基板と比べて3倍以上向上した。また、3D造形技術を活用することで、細線パターンや複雑な回路形状も形成可能となっている。

この技術は、放熱性能の向上や高密度配線、小型化が強く求められるパワー半導体デバイスをはじめ、光通信機器、AIサーバー、通信衛星、医療用レーザーなど、多岐にわたる幅広い分野において今後の利用検証や採用が進むと期待されている。



