著者:納谷昌之
今昔物語に、「灯影(ほかげ)に映って死んだ女房の話」という小話がある。美しく、性格も良かったため、皆から慕われていた小中将の君という女房(宮仕の高位の女官)がいた。ある時、小中将が仕える屋敷の一室で灯火が灯されると、小中将本人と見紛うくらいの鮮やかな影が現れた。その場にいた若い女房たちは、「まあ、小中将様にそっくり」と喜んで騒ぎ立てた。後からそれを聞いた年配の女房は、「そんな時には灯火の燃え残りを掻き落としてそれを飲み、祈祷しなければ大変なことになる」と言ったが、すでに時は遅かった。ほどなく、小中将は病に倒れて里に帰ってしまった。恋人が心配して訪れた時には、小中将はすでに亡くなっていた。
少しオカルトチックだが、どこか儚く寂しい雰囲気が漂う話である。

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