広島大学の研究グループは、光子の位置と運動量に条件を与えて実験し、光子の伝播が古典的な「まっすぐな運動」では説明できないこと、その原因として位置と運動量の量子干渉が関係していることを定量的に示した。(ニュースリリース)。

古典力学では、物体の最初の位置と進行方向の速度(運動量)を決めれば、その後の運動を予測でき、外から力を受けなければ物体はまっすぐ進む。一方、光子などが従う量子力学では、位置と運動量を同時に正確に定めることができず、標準的な解釈では、粒子がどのような運動をたどったのかを明確に定めることはできない。
そこで今回の研究では、光子の最初の位置と運動量に条件を与え、その後どこに到達するのかを測定した。具体的には、光子を位置幅L(55μm)に閉じ込めた状態と、運動量幅B(換算運動量で55μmに対応)に閉じ込めた状態の重ね合わせ状態をサニャック干渉計で実現し(LB=0.037h、hはプランク定数)、その後の位置を測定した。

測定の結果、位置幅Lに光子が存在する確率は52.5%、運動量幅B内にある確率は64.5%だった。この二つの条件から、光子が古典力学のようにまっすぐ進むと仮定すると、100mm離れた場所では位置幅M(110μm)の範囲内に17%以上の光子が到達すると予想される。しかし、実際に観測されたのは11%だった。
研究グループは、この差が位置と運動量の量子干渉によるものであることを定量的に示した。量子干渉によって、最初の位置測定と運動量測定では、それぞれの初期条件を満たす光子数の増大が観測された一方、その後の位置測定では同程度の増大が起こらなかったという。これは、量子の世界では、最初の位置と運動量という二つの条件だけから、その後の位置を古典力学のように単純に決めることができないことを示している。
研究グループは今後、量子干渉が粒子の運動にどのような影響を与えるのかを詳しく調べることで、量子の世界における「運動」の理解が進むとしている。さらに、量子の運動への理解が深まれば、将来、一見矛盾するようにみえる量子力学と古典力学の双方を包括的に説明する物理法則の発見につながる可能性があるとしている。




