ソフトバンク、一橋大学、国立極地研究所は、成層圏を滞空する通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」を地上からリアルタイムに追尾し、レーザー光を使って距離を測定する実証に成功した(ニュースリリース)。3者によると、成層圏を滞空するHAPSを追尾しながらレーザー光を送り、HAPSからの反射光を地上で連続的に受信した実証は世界初という。将来の衛星、HAPS、地上を結ぶ光無線通信の実現につながる成果としている。

HAPSは「空飛ぶ基地局」とも呼ばれ、成層圏から広い範囲に通信サービスを提供するプラットフォーム。衛星やHAPSなどを利用する非地上系ネットワーク(NTN)では、大容量のデータを高速に伝送する手段として光無線通信が期待されている。一方、レーザー光は指向性が高いため、移動するHAPSとの通信には、その位置を正確に捉え、動きを追いながら細いレーザービームを送り続ける捕捉・追尾技術が必要となる。
今回の実証では、SceyeのLTA(Lighter Than Air)型HAPSに、どの角度から入射した光でも光源方向へ反射するコーナーキューブ反射鏡(CCR)を搭載した。国立極地研究所がCCRを設計し、ソフトバンクが反射装置を製作した。地上側には、一橋大学が設計した小型衛星レーザー測距装置「Omni-SLR」を基に、HAPSの追尾に対応した小型・可搬型のレーザー測距装置を構築した。
実証は2026年8月、高知県の室戸岬沖を滞空するHAPSを対象に行なった。地上の装置からパルス状のレーザー光を送信し、HAPSを連続的に捕捉・追尾しながら、CCRから戻ってきた反射光を連続して受信することに成功した。レーザー測距は、レーザー光を対象に送り、反射光が戻るまでの時間から距離を測る技術で、高精度な捕捉・追尾が求められる。この技術は光無線通信にも応用できる。
今回の実証では、成層圏と地上間を光が伝わる際の減衰など、HAPSを使った光無線通信の実現に必要なデータも取得した。3者は今後、光の減衰や変動、HAPSの動きに対する追尾特性などを分析し、HAPSに搭載する光無線通信装置の仕様や搭載方法、捕捉・追尾技術の検討を進める。
ソフトバンクは2026年に低軌道衛星と地上間の光無線通信を実証し、2027年には低軌道衛星とHAPS間で双方向の光無線通信を検証する計画。将来は地上ネットワークに加え、HAPSや低軌道衛星などを光無線通信で接続し、高速・大容量で柔軟な3次元通信ネットワークの構築を目指す。




