九州大学大学院総合理工学研究院・教授の濱口達史氏と、みらい創造インベストメンツが共同代表者として申請した「パラメータ制御機構を内在するレーザー素子の実現と時空計測用途に向けた社会実装」が、科学技術振興機構(JST)の「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」に採択された(ニュースリリース)。

同テーマでは、波長や位相などの光パラメータを制御できる新しい垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)アーキテクチャの開発に取り組む。初期の事業化ターゲットとして、チップスケール原子時計(CSAC)などの量子センシングを想定し、高安定・低雑音な光源の実現を目指すという。
VCSELは、小型かつ低消費電力という特徴を持つ一方、従来のVCSELでは波長制御に課題があった。今回の技術では、共振器を長くすることで製造ばらつきや温度変動の影響を受けにくくするとともに、狙った波長のシード光を素子内部に導入することで、モードホップの抑制を図る。これにより、安定した波長制御を可能にする。
さらに将来的には、開発したVCSELを位相同期アレイ(OPA)へ発展させる計画。空間センシングや高出力レーザーなどへの応用を視野に入れ、さまざまなレーザー光源を半導体光源へ置き換える新たな光源プラットフォームの構築を目指す。
事業化においては、みらい創造インベストメンツが事業化推進機関として伴走する。国内外の研究機関や企業とのネットワークを活用し、研究開発と市場開拓を並行して進める。中長期的にはLiDARなどの大規模市場への展開も見据え、出力、指向性、位相制御性など、用途ごとの要求仕様を検証しながら適用領域を拡大していく。
また、製造やパッケージングを含むバリューチェーンにおけるパートナーとの連携も進め、量産・製品化に向けた事業基盤を構築する。D-Globalの支援期間を通じて、初期顧客や事業化パートナーとの連携を具体化し、大学発スタートアップの創出とグローバル展開につなげるとしている。
濱口教授は、今回のプロジェクトについて、VCSELを「光を出すデバイス」から「光を自在に操るプラットフォーム」へ進化させることに挑戦するとしている。原子時計、センシング、通信、モビリティ、エネルギーなどへの展開を通じ、研究成果の社会実装と新たな光産業の創出を目指す。
D-Globalは、大学などの技術シーズを核として、社会・経済に大きなインパクトを生み、国際展開を含めて大きく事業成長する可能性を持つディープテック・スタートアップの創出を目的としたJSTの支援プログラム。今回の採択を契機に、次世代VCSEL技術の研究開発から事業化、さらにグローバル市場への展開までを一体的に進めるとしている。




