著者:納谷昌之
光屋にとって、暗室は身近な存在だろう。僕にとっても、大学の光学の研究室で学んで以来、長い付き合いになる。指導教官から一通りの説明を受け、初めて一人で暗室に残された時の光景は、今でも忘れられない。レーザーや実験装置の冷却ファンの音だけが聞こえる暗い部屋の中、アルゴンイオンレーザーの青い光が光学定盤の上で交差し、その散乱光が無数のスペックルとなって壁を淡く照らしている。僕はまるで異世界に迷い込んだような、不思議な感覚に包まれたのだった。

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