富士フイルムビジネスイノベーションは、独自のレーザー光源「Smart Addressable VCSEL」を活用し、人や物の位置に加えて、動きや移動方向まで広範囲に認識できる空間センシング技術を開発した(ニュースリリース)。複合機やプリンターの高画質化、小型化で培ってきた光デバイス技術を応用したもので、150度を超える範囲をセンシングできる。

開発したシステムは、レーザー光を照射する発光部、反射光を捉える受光部、距離計測回路、制御演算部で構成する。発光したレーザー光が人や物に反射して戻るまでの時間から距離データを取得し、独自のアルゴリズムで解析することで、対象の位置だけでなく、動きや移動方向も認識する。
中核となるSmart Addressable VCSELは、面発光レーザー(VCSEL)と自己走査型発光素子(SLED)の技術を融合したレーザー光源。24×24の格子状に576個のレーザー発光点を配置し、複数の発光領域を高速に切り替える選択回路も同一チップに集積した。これにより、機械的に光源を動かすことなくレーザー光の照射位置を電気的に高速制御でき、広角投影レンズと組み合わせることで150度を超える広い範囲への照射を可能にした。

同社が複合機の露光用光源として培ってきたVCSELは、高速化や高画質化に利用されてきた。一方のSLEDは、発光位置を電子的に切り替える回路機能を発光部と同一チップに集積した光デバイスで、LEDプリントヘッドの小型化や高画質化を支えてきた。今回、この2つの技術を組み合わせることで、小型かつ広範囲を測定できるレーザーセンシングへ応用した。

また、カメラ映像ではなく距離データを解析するため、プライバシーへの配慮や通信処理負荷の低減が求められる用途にも適するとしている。人の接近に応じた機器の自動起動や省電力状態からの復帰、人の動きを利用した非接触操作、作業者や通行人の検知による安全支援などへの活用を想定する。
今後は、同社の複合機に搭載する省電力技術「Smart WelcomEyes」への応用を進め、利用者の接近をより高精度に検知することで、利便性と省エネルギーの両立を図る。さらに、非接触操作や安全支援、設備機器などへの展開も検討する。なお、同技術は、2026年10月13日から16日まで幕張メッセで開催される「CEATEC 2026」で展示する予定としている。




