パワーレーザー、12億円調達 レーザーフュージョン光源と宇宙デブリ事業を加速

大阪大学レーザー科学研究所発スタートアップのパワーレーザー(大阪府吹田市)は、第三者割当増資などにより総額約12億円の資金調達を実施した(ニュースリリース)。今回の調達により、累計調達額は約16億円となる。調達資金を活用し、レーザーフュージョン用パワーレーザー光源の開発や、小型宇宙デブリを対象とした宇宙状況把握(SSA)事業などを進める。

同社は2024年5月、大阪大学レーザー科学研究所発のスタートアップとして設立された。大阪大学レーザー科学研究所およびレーザー技術総合研究所と共同研究を進めており、大学や研究機関、企業が持つパワーレーザー技術と専門家の知見を組み合わせ、新たな応用市場の開拓を目指している。

同社が開発するパワーレーザー光源は、1パルス当たりのエネルギーが大きいことに加え、高繰り返し動作が可能な点を特徴とする。高エネルギーと高繰り返し動作を両立することで、従来の研究用途にとどまらず、レーザーフュージョンや宇宙分野などへの実用展開を見込む。

レーザーフュージョンでは、燃料となる物質に高出力レーザーを照射して核融合反応を起こすため、大出力化だけでなく、高い繰り返し周波数で安定してレーザーを照射できる光源技術が実用化に向けた重要な要素となる。同社は今回の資金を用いて、レーザーフュージョン向け光源の開発とともに、その応用検証を進めるとしている。

また宇宙分野では、小型宇宙デブリを対象とした宇宙状況把握事業に取り組む。パワーレーザー技術は、宇宙デブリの観測や将来的な除去への応用が期待されており、同社はレーザーフュージョンと並ぶ新たな事業領域として開発を進める。

今回の資金調達には、Incubate Fund、DBJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほ系ファンド、日本政策金融公庫などが参加した。同社はパワーレーザー技術をエネルギー、宇宙、先進加工、医療などへ展開し、新たな産業・サービスの創出を目指すとしている。

キーワード:

関連記事

  • 【解説】光技術はこれからの安全保障をどう支えるのか

    防衛省は、令和8年版防衛白書を公表した(ニュースリリース)。今回の白書は「未来につながる安全保障」をテーマに、日本を取り巻く安全保障環境を分析するとともに、防衛力を支える技術力や産業基盤の重要性を取り上げている。 防衛白…

    2026.08.05
  • 阪大発のスタートアップ企業、宇宙戦略基金事業「高出力レーザーによる空間自在利用技術」で採択

    大阪大学レーザー科学技術研究所発のスタートアップ、パワーレーザーは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募する宇宙戦略基金事業(第二期)「空間自在利用の実現に向けた技術」において、「(B)軌道上物体除去技術の開発」および…

    2026.01.28
  • 日・ルーマニア、ハイパワー光学拠点整備へ レーザー核融合を後押し

    大阪大学レーザー科学研究所(阪大レーザー研)とオカモトオプティクス、ルーマニア極限レーザー核物理研究所(ELI-NP)は、高性能光学素子(オプティクス)の研究開発や製造を行なう施設「ハイパワーオプティクスセンター」を共同…

    2026.01.19
  • ヌヴォトン、379nm紫外半導体レーザーを量産 短波長・高出力・長寿命を両立 

    ヌヴォトンテクノロジーは、業界最高クラスとする光出力を実現した直径9.0mmのCANパッケージ(TO-9)タイプの「高出力1.0W 紫外(379nm)半導体レーザー」 の量産を開始すると発表した(プレスリリース)。&nb…

    2026.01.16
  • 2026年以降の半導体成長を支える技術基盤とは

    生成AIの急速な普及や、様々なモノの電動化の進展を背景に、半導体市場は2026年以降も中長期的な成長軌道を描くと見込まれている。先端ロジック半導体では、AI処理能力のさらなる高度化に向けて微細化競争が続く一方、電力インフ…

    2026.01.05

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア