ヌヴォトン、379nm紫外半導体レーザーを量産 短波長・高出力・長寿命を両立 

著者: オプトロニクス 編集部

ヌヴォトンテクノロジーは、業界最高クラスとする光出力を実現した直径9.0mmのCANパッケージ(TO-9)タイプの「高出力1.0W 紫外(379nm)半導体レーザー」 の量産を開始すると発表した(プレスリリース)。 

AI(人工知能)の進化に伴い高度な情報処理能力への需要が拡大する中、半導体には従来以上の高性能化が求められている。一方で、トランジスタの微細化は物理的・経済的な限界に近づきつつあり、複数の半導体チップを横並びに実装、または垂直方向に積層して高集積化する、半導体後工程のパッケージ技術・先端半導体パッケージに注目が集まっている。

先端半導体パッケージにおいて、複数の半導体チップ間を接続する配線形成は、水銀のスペクトル線であるi線(365nm)とフォトマスク(回路原板)を用いた露光技術が主流として用いられてきた。一方で、近年フォトマスクを使用せずに、設計データに基づいて配線パターンを直接露光(描画)するマスクレス露光技術への関心が高まっている。

この技術は、フォトマスクの設計や製造に伴う時間やコストを削減できると考えられている。さらに、描画対象の表面形状に合わせて配線パターンを直接焼き付けることが可能なため、位置合わせや補正が行いやすく、現在、先端半導体パッケージへの応用検討が進められている。このマスクレス露光技術における主要光源の一つである半導体レーザーは、配線の微細化・設備の生産スループット向上に向けて、i線光源(365nm)に近い短波長化と、高出力化が求められてきた。この要求に対応するため、同社は40年以上にわたるレーザー設計・製造の経験をもとに開発を進め、波長379nm、出力1.0Wの紫外半導体レーザーの製品化を実現した。

紫外半導体レーザーは、一般的に光電力変換効率(WPE)が低く、自己発熱が大きいこと、さらに短波長光による素子劣化が起こりやすいことから、1.0Wを超える高出力での安定動作が困難であった。そこで同社は、「光電力変換効率を高めるデバイス構造」と「熱を効率よく逃がす高放熱パッケージ技術」の両面からアプローチし、「短波長」「高出力」「長寿命」を両立した、紫外(379nm)、1.0Wの製品化を実現した。これにより、紫外光を用いる光学装置の長寿命化に貢献するという。

また、発光層や光閉じ込め層の最適化に加え、不純物プロファイルを精密に制御する独自構造を採用。これにより、光の吸収損失や動作電圧の上昇を抑え、電気エネルギーを効率よく光に変換することが可能となっている。さらに、高熱伝導材料を用いたサブマウントの採用に加え、パッケージ材料を見直して熱抵抗を低減。これにより、素子の温度上昇を抑制し、高出力での安定動作を実現した。

この製品は、用途や設置環境、必要性能に応じた柔軟な製品選定を可能にし、システム設計の自由度を向上させるとしている。なお、同製品の量産開始は2026年3月からとしている。

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