レーザーが支える「安全・安心」の鉄道インフラ

錆・塗膜除去からトンネル検査まで、保守現場で進む非接触・省人化技術

鉄道インフラの保守・点検に、レーザー技術を適用する動きが広がっている。2026年5月27日にインテックス大阪で開幕した「第2回 鉄道技術展・大阪2026」では、車両・構造、軌道、土木、運行管理など鉄道分野の技術が一堂に集まる中、鉄道インフラを支えるレーザー技術に注目した。

今回、特に注目したのは二つの領域だ。一つは、錆や塗膜の除去を目的としたレーザークリーニングで、もう一つは、トンネル覆工コンクリートの健全性を非接触で評価するレーザー打音検査だ。いずれも、従来は人手、経験、足場、接触作業、粉じん対策などに依存してきた保守現場を、より安全で効率的なものへ変える可能性を持つ。

レーザークリーニングでは、オプティレーザーソリューションズと古河電気工業が関連技術を出展していた。オプティレーザーソリューションズは、レーザークリーナーの実機展示・実演を展開しており、同社の製品群には高出力モデルやパルスレーザータイプ、空冷式・水冷式の機種が並ぶ。国内開発・生産や保守対応を訴求している点も、長期運用が前提となるインフラ用途では重要な要素となる。

同社は、防衛向けにもレーザークリーナーの販売実績を持つという。防衛、鉄道、造船、橋梁、プラントといった分野に共通するのは、鋼材表面の錆、塗膜、油分、汚れを、母材への影響を抑えながら除去したいというニーズがある。特に鉄道車両や橋梁、沿線設備では、保守対象が広範囲に及ぶ一方で、作業時間や作業場所に制約が多い。可搬性、作業性、安全対策を備えたレーザークリーナーは、こうした現場課題に対する新しい選択肢として存在感を増している。

オプティレーザーソリューションズのレーザークリーナー
←古河電気工業のインフラレーザと塗膜除去と錆取りの例

古河電気工業は、インフラ構造物向け表面処理ソリューション「インフラレーザ®」を展開している。同社は、船舶、電車、橋梁など大型インフラ設備の鋼材表面にある錆や劣化塗膜を、安全性、精度、作業性、環境負荷低減の観点から除去する工法としてレーザーを位置づけている。同社ではレーザー発振器も開発していることから、ニーズに応じて高出力レーザーを搭載した装置化も可能としている。実際に2kWのレーザークリーニング装置も出展していた。

クリーニング技術を巡っては、従来の薬品処理やブラスト工法では薬品による人体影響、研磨材の飛散、産業廃棄物の発生、作業者負担といった課題があった。レーザーは研削材を使わず、産業廃棄物の排出量を抑えられるほか、振動や反力が少ないためロボット搭載や自動化にも適している。

さらに注目した技術としては、フォトンラボのレーザー打音検査装置がある。従来の打音検査は、作業員がハンマーなどでコンクリート面を叩き、その音の違いから浮きや剥離を判断する。これに対し、レーザー打音検査は、レーザーを用いて対象面を励振し、その応答を計測することで、非接触で異常を検出する。人が高所や狭隘部に近づく必要を減らせるため、安全性の向上に寄与するだけでなく、点検データの定量化、記録性、将来的な自動化にもつながる。

フォトンラボが開発中のレーザー打音検査装置

この技術は道路トンネルにも適用可能だが、鉄道トンネルではより厳しい条件が求められるという。その開発は、道路向け技術の単純な転用ではない。鉄道現場に合わせた小型化、軽量化、計測速度、位置合わせ、データ処理、運用手順の最適化が不可欠となる。フォトンラボは、道路用レーザー打音検査装置を鉄道施設向けに技術展開しているとしており、インフラ点検分野におけるレーザー応用の広がりを示す事例といえるだろう。

老朽化する社会インフラを、限られた人員と時間でどう維持していくか。こうした問題は鉄道業界だけが抱えているわけではないが、この課題に対してレーザーは単なる先端技術ではなく、現場に実装される保守ツールとしての段階に入りつつある。

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