ドローンやロボットの社会実装が進む一方、課題として残っているのが「電源」の問題だ。こうしたなか、レーザー光を用いた無線給電で挑むスタートアップ企業がSolaNika(東京)だ。代表取締役社長の菊池舞氏に、レーザー無線給電の技術、防衛・災害・インフラ分野への展開について聞いた。

人間の活動領域を広げる光エネルギー伝送へ
光で電力を届けるという発想
─創業の経緯から
もともとの問題意識は、大学や研究機関にある優れた技術を、もっと社会で実際に活用できるかたちにしたいということでした。日本には興味深い研究成果がたくさんありますが、それが研究室の中にとどまり、事業や社会インフラとして十分に活用されていない例も多いと感じていました。
もう一つ大きかったのが、宇宙やロボットの分野で感じた電源の制約です。移動体にとって、バッテリーは必要不可欠ですが、同時に大きな重量負担になります。宇宙開発においては輸送コストを減らすために1 gでも重量を削減させることがとても重要です。そこで、電力をすべてバッテリーとして機体に
積むのではなく、必要な時に外部から供給する仕組みが求められるのではないかと考えました。それが、レーザー無線給電に取り組む出発点です。
─レーザー無線給電について教えてください
簡単に言えば、レーザー光を使って離れた対象に電力を届ける技術です。送電側からレーザーを照射し、受電側に搭載した素子で光を電気に変換します。ドローンの場合は、地上に設置した送電装置が飛行中の機体を追尾し、機体側の受電パネルにレーザーを当て続けることで、飛びながら電力を受け
取ることができます。
無線給電にはマイクロ波方式などもありますが、レーザーは指向性が高く、特定の対象にエネルギーを集中させやすいという特徴があります。一方で、対象を正確に追尾し続ける必要がありますし、安全性の確保も重要です。私たちは、AI 画像処理による追尾技術、軽量で高効率な受電モジュール、電力
変換技術を組み合わせ、実際の現場で使えるシステムにしていくことを目指しています。
─ドローンにおける電源課題は
ドローンは、点検、警備、測量、災害対応など、すでに多くの分野で使われています。ただ、長時間連続して空中にとどまりたい用途では、バッテリーが大きな制約になります。例えば災害現場で上空から地上の被災者を捜索する場合や、施設の警備や点検においても、ドローンは長時間連続で飛行することができず、バッテリー交換のため頻繁な離着陸が必要になります。
これは、単に飛行時間が短いという問題だけではありません。運用が途切れる、人手が必要になる、予備機や充電設備を用意しなければならない、といった負担につながります。レーザー無線給電によって飛行中に電力を供給できれば、ドローンの使い方は大きく変わると考えています。常時監視、通信中継、災害時の状況把握、広域インフラ点検など、これまで飛行時間の制約で難しかった運用が見えてきます。



