レーザー無線給電でエネルギーの制約を越える

防衛、災害、インフラへ広がる応用

─防衛分野での可能性について

防衛分野では、長時間にわたる監視や警戒、通信中継、災害時の状況把握など、ドローンを長時間連続で飛行させるニーズが多くあります。離島、山岳、洋上、広域施設など、人が常に警備することが難しい場所では、ドローンが長時間にわたって飛行を継続できることの価値は大きいと思います。

レーザー無線給電によって、バッテリー交換のために機体を戻す頻度を減らすことができれば、任務の継続性を高めることができます。もちろん防衛用途では、民生用途以上に信頼性、耐環境性、運用性が求められます。機器として動くだけではなく、誰が、どのような環境で、どれくらいの時間、どのように使うのかまで考える必要があります。

一方で、防衛分野で磨かれた技術は、災害対応や重要インフラ保全にも応用できると考えています。防衛というと特別な領域に見えますが、長時間の監視、通信確保、遠隔地での運用といった課題は、民生分野にも共通しています。

─産業用ドローン企業との連携について

レーザー無線給電は、送電装置だけで完結する技術ではありません。機体側の設計、受電モジュールの搭載位置、飛行制御、運用シナリオまで含めて考える必要があります。そのため、ドローンメーカーや運用事業者との連携はとても重要です。

産業用ドローンの開発・制御技術と、私たちのレーザー無線給電技術を組み合わせることで、長時間滞空が可能なドローンシステムを実現したいと考えています。警備・防災、災害時の状況把握、広域インフラ点検など、“ダウンタイムをできるだけ減らしたい。”というような用途から実証を進めていきたいです。

─チームの強みは何ですか

レーザー無線給電は、レーザー光学だけでも、ドローンだけでも成り立たない技術です。画像認識、電力変換、制御工学、機体運用、安全設計など、多くの分野を組み合わせる必要があります。

私たちのチームには、宇宙探査、ドローン開発、AI 画像処理、レーザー光学など、異なる専門性を持つメンバーが集まっています。大事なのは、それぞれの専門技術を個別に高めるだけではなく、実際の現場で機能する一つのシステムとして統合することです。そこにスタートアップとしての挑戦があります。

─今後のロードマップは

まずは、ドローン向けのレーザー無線給電システムとして、実証を積み重ねる段階です。出力、距離、追尾精度、安全性、受電モジュールの軽量化など、実用化に必要な要素を一つずつ高めていきます。

その上で、警備、防災、インフラ点検など、長時間運用の価値が分かりやすい分野でユースケースを作っていきたいです。将来的には、ドローンだけでなく、ロボット、センサー、遠隔地の電力供給、さらには宇宙空間でのエネルギーインフラにも広げていきたいと考えています。

─読者へメッセージを

光技術は、情報を伝えるだけでなく、エネルギーを届ける技術にもなります。レーザー無線給電は、その可能性を社会インフラへ広げる挑戦だと考えています。

日本には、レーザー、光学部品、半導体、制御、精密加工など、世界に誇れる技術がたくさんあります。そうした技術を組み合わせ、研究室の中にある成果を、現場で使える形にしていくことが私たちの役割です。バッテリーやケーブルから移動体を解放できれば、ドローンやロボットの使い方は大きく変わります。さらに将来的には、地上から宇宙までエネルギーが途切れない世界をつくることも目指しています。レーザー無線給電を通じて、エネルギーの制約を越え、人の活動領域を広げていきたいです。

レーザー無線給電はまだ黎明期にある技術です。この市場をゼロからつくり、移動体の運用を根本から変える—そんな挑戦の只中に、私たちはいます。既存の枠組みにとらわれず、自らの技術で未来を切り開きたい、”我こそは”と思う技術者の方には、ぜひこの挑戦に加わっていただきたいです。

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