給電技術を現場で使えるシステムへ
給電を支える制御
─技術的に難しい点はどこにあるか
移動している対象に対して、安全かつ正確にエネルギーを届け続けることです。ドローンは風の影響を受けますし、飛行中に姿勢も変わります。受電パネルの面積も限られているので、そこにレーザーを安定して照射するには、高精度な認識と制御が必要になります。
私たちは、リアルタイムの画像解析に加え、光反射を用いたトラッキング技術も組み合わせることでドローンの位置や姿勢を把握し、レーザー照射を制御する技術を開発しています。ただ追いかけるだけでなく、機体の動きを予測しながら、適切な位置に照射し続けることが重要です。
また、受電モジュールを軽くすることも大きな課題です。給電のために重い装置を積んでしまうと、ドローン本来の性能を損なってしまいます。光学、電力変換、制御、機体設計をそれぞれ別々に考えるのではなく、全体として最適化していく必要があります。

社会実装に向けた現在値
─現在の開発状況は
現時点では、飛行中のドローンに対してレーザーで給電するための要素技術を組み合わせ、実証を進めている段階です。レーザーを照射するだけであれば技術的には可能ですが、私たちが目指しているのは、飛行中のドローンを追尾しながら、機体側の受電部に安定して光を届け、それを電力として使える形にすることです。
現在、出力としては数十W級の給電を確認しており、飛行中のドローンへのレーザー給電に必要な要素技術の実証を着実に積み重ねています。今年度中には500 W級レーザーを用いて、ド
ローンを半永久的に飛行させるデモンストレーションの実施を予定しており、長時間運用に向けた実用性を具体的なかたちで実現できると考えています。
ただ、出力を上げればよいというものではありません。出力を高めるほど、追尾精度、安全性、受電効率、熱設計への要求も同時に高まります。特にドローンは飛行中に揺れますし、風によって位置も姿勢も変わります。その中で、受電部に対してレーザーを当て続けるには、高精度な追尾と安全な制御が欠かせません。現在は、そうした要素を一つずつ確認しながら、実際の運用に近い条件で使えるシステムへ仕上げているところです。
─次に超えるべき課題は
大きくは、出力、距離、安全性、運用性の4 つだと思っています。ドローンを長時間飛ばすには、機体が必要とする電力を安定して供給できるかが重要です。また、実際の現場では送電装置とドローンの距離が一定とは限らないので、距離が変わっても安定して給電できることが求められます。
安全性については、レーザーを扱う以上、最初からシステム全体の中に組み込んでおく必要があります。人や周囲の設備に対して危険が及ばないよう、追尾が外れた場合の遮断、照射範囲の制御、運用時の安全確認などを含めて考えなければなりません。
もう一つ大事なのは、現場で使いやすいシステムにすることです。技術的に給電できることと、現場で継続的に運用できることは同じではありません。防災、警備、防衛、インフラ点検といった用途では、専門技術者だけでなく、現場の担当者が安全に扱えることが重要です。そこまで含めて、社会実装に向けた開発を進めています。



