大阪公立大学は、光の照射条件を変えるだけで、屈曲型のb-DNTと直線型のl-DNTという骨格の異なる2種類の分子を作り分けることに成功した(ニュースリリース)。

有機半導体の高性能化においては、電気の担い手である正孔が分子間を素早く移動できるよう、分子を隙間なく規則正しく積み重ねて「電気の通り道」を形成することが鍵となる。今回の研究では、機械学習を活用した知見に基づき、分子を密に積み重ねるのに有効な硫黄と窒素の両方を含む「チアゾール」という骨格を組み込んだ新しい分子の開発が目指された。
具体的な合成プロセスでは、あらかじめ用意した鎖状の原料分子に365nmの紫外光を照射することで、屈曲型と直線型の分子を約8対2の比率で得ている。さらに、光エネルギーを仲介する増感剤を加えて400nmの可視光を照射した場合には、屈曲型のb-DNTのみを選択的に合成できることが判明した。この作り分けのメカニズムについては、レーザーフラッシュフォトリシスを用いた反応中間体の観測と理論計算によって解明されている。
得られた2種類の分子の結晶構造をX線で解析したところ、いずれも硫黄–硫黄間および硫黄–窒素間の引力によって分子が密に結合していることが確認された。特に直線型のl-DNTは分子の重なりが大きく、正孔の移動度は4.0 cm2 V-1 s-1に達すると予測されている。これは屈曲型であるb-DNTの約5倍の数値であり、光による分子骨格の制御が有機半導体の特性向上に極めて有効であることを示している。




