名古屋大学は、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(ZnO)ベースの透明導電体ナノシートを開発し、高い透明性と感度、さらに耐熱性を兼ね備えた高性能フォトディテクタを構築した(ニュースリリース)。同大学未来材料・システム研究所の長田実教授、ルベン・カントン-ビトリア氏、ビビッド・ミーラブ氏らの研究グループによる成果である。

フォトディテクタはIoTや光通信を支える重要デバイスだが、従来は検出波長域の制限や毒性元素の使用、高温環境での不安定さといった課題があった。研究グループは、独自の「イオン層エピタキシー法」を用いて、気液界面でGaドープ量を精密に制御したGZOナノシートを創出した。

この新材料は、ナノシート1枚あたり平均99.995%というほぼ完全な透明性を維持しながら、高い電子移動度(1.94 cm²/V・s)と最大800 A/Wという極めて高い可視光応答性を両立している。

さらに、室温溶液プロセスで異なる波長域に応答する光フィルタを垂直に積層し、単一画素(1ピクセル)内でRGBの色情報を識別可能な「オールインワンRGBフォトディテクタ」を実現した。従来のBayer配列は複数画素とカラーフィルタを必要とするため微細化に限界があったが、本技術は「単一画素多機能化」という新概念により、デバイスの小型化・高集積化を可能にする。

実証実験では、ムンクの「叫び」を題材とした画像を用いて、カラー画像を高精度に再構成できることを確認した。 また、本デバイスは大気中400℃の高温環境下でも安定して動作するという、優れた耐熱性と耐酸化性を示している。この成果は、宇宙空間や車載、高放射線環境などの極限環境で動作する次世代光デバイスへの応用に加え、スマートフォンカメラのさらなる小型化や低コスト製造に寄与すると期待される。




