東京理科大学、産業技術総合研究所、大阪大学、理化学研究所の研究グループは、製膜後の無配向カーボンナノチューブ(CNT)膜に偏光制御した超短パルスレーザーを照射し、特定方向に配向したCNT構造を局所的に形成する光ポストプロセス技術を開発した(ニュースリリース)。

CNTは優れた電気的、光学的、機械的特性を持ち、次世代デバイス材料として期待されている。一方、その物性はチューブの配向方向に強く依存するため、トランジスタやセンサーへの応用には配向制御が重要となる。従来技術では、主に製膜前の段階で配向を制御していたため、膜上の任意の場所だけを異なる方向に配向させることが難しかった。
研究グループは、CNTが長軸方向に平行な偏光を強く吸収するという光学的異方性に着目。無配向CNT膜に直線偏光した超短パルスレーザーを照射すると、光を強く吸収する向きのCNTだけが選択的にアブレーションされ、レーザーの偏光方向と直交するCNTが残ることを利用した。
その結果、レーザーを照射した領域だけに配向CNTを形成し、サブマイクロメートルの空間解像度で配向方向を制御することに成功した。パルス幅が数10ピコ秒以下と短いため、熱が周囲に拡散する前にCNTを除去でき、周辺への熱ダメージを抑えた加工が可能だという。
形成したCNTの2Dネマティック秩序パラメーターは0.93、吸光度比は24.7倍を示し、従来の大面積配向技術に匹敵する性能を確認した。また、低エネルギー照射によって分散剤を選択的に除去し、CNT膜の結晶品質を向上できることも明らかにした。さらに、マイクロメートル領域内に4方向の異なる配向CNTを集積したほか、文字や縞、円形などの複雑な構造を膜上に直接形成することにも成功した。

今後は、局所配向CNTを画素とするテラヘルツ偏光イメージセンサーや、高速・低消費電力ロジックデバイスへの応用を目指すとしている。



