名古屋工業大学の研究グループは、液滴の落下によって一軸伸長流れをつくり出し、高速度偏光カメラを用いた「全視野伸長レオ・オプティクス計測技術」を開発した(ニュースリリース)。

液体の中には、流れると形を変える複雑流体と呼ばれるものがある。こうした流体の性質を理解するには、流れの中で分子がどのように配向し、それがどんな応力を生み出しているのかを同時に調べることが重要となっている。
界面活性剤水溶液は、濃度や塩の種類によってひも状やネットワーク状のミセル構造をつくり、その構造の違いが粘り気(レオロジー特性)を大きく変える。これまでミセルの構造変化は主にせん断流れの中で研究されてきたが、一軸伸長流動のように流れが引き伸ばされる場では、空間的に流れが不均一になり、観察が難しいことが課題だった。また、流れによる光学的な変化(複屈折)と応力の関係を示す応力光学則がこの条件で成り立つかどうかも、これまで明らかではなかった。
研究グループは、界面活性剤水溶液(CTAB/NaSal水溶液)を対象として、一軸伸長流動下におけるミセル配向構造と応力応答の関係を明らかにするため、新しい全視野伸長レオ・オプティクス計測手法を開発した。
液滴の落下によって形成される細い液糸を高速度偏光カメラで撮影し、時間とともに変化する複屈折分布や分子配向角を取得した。さらに、液糸の半径の時系列変化を画像解析することで、非接触的に伸長応力を算出し、応力と複屈折を同時に定量評価することに成功した。

CTAB/NaSal水溶液の濃度を変えて測定を行なった結果、エラストキャピラリー領域において複屈折と伸長応力が時間的に同様の挙動を示し、両者の間に明確な線形関係が成り立つことを確認した。このことから、一軸伸長流動下でも応力光学則が成立することを実験的に実証した。
さらに、応力光学則から求めた応力光学係数は、せん断流動で報告されている値とよく一致した。また、ミセルモル濃度が高くなるにつれて、この係数の絶対値が増加する傾向が見られ、ミセルの存在量が光学応答の強さを決める主要因であることが分かった。
研究グループは,この技術は、メガネやカメラレンズ、スマートフォンの画面保護フィルムなどに使われる樹脂材料の製造過程で歪みのない透明材料をつくる技術につながり、光学デバイスや医薬品製造プロセスの最適化にも応用が期待されるとしている。