東大、誘導ラマン散乱によりGaN結晶中の転位を3次元イメージング

東京大学大学院工学系研究科・院生の高橋俊氏、講師の前田拓也氏、同先端科学技術研究センター・教授の小関泰之氏らの研究グループは、次世代半導体材料である窒化ガリウム(GaN)の結晶内部に存在する転位を、非破壊かつ3次元的に可視化する新たなイメージング手法を開発した(ニュースリリース)。

GaNは電気自動車などの電力変換デバイスへの応用が期待されているが、結晶内の転位がデバイスの性能や信頼性に影響を及ぼすため、その詳細な評価手法が求められていた。今回の研究では、誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡と多光子フォトルミネッセンス(MPPL)顕微鏡という2種類の非線形光学顕微鏡を組み合わせ、得られた画像を解析することによって、転位の位置に加えてバーガースベクトルの面内成分を結晶成長方向に沿って追跡することに成功した。

(図)(a) MPPL像。転位の存在するところが暗点として現れる。(b) SRSピークシフト像。転位の周辺で格子振動が高周波化(赤)・低周波化(青)している様子が見て取れる。(c) (b)黒枠内の拡大像。(d) (c)中点線のラインプロファイル。

さらに、開発した手法がGaNデバイスのリーク電流源として知られる「らせん転位」の識別にも適用可能であることを実証している。本成果は、高品質な結晶成長技術の確立や、転位がもたらす影響の解明によるデバイス性能の向上、さらには工場での半導体ウェーハ検査など、GaNデバイスの発展に広く貢献することが期待される。

(図)GaN基板中の転位のバーガースベクトル面内方向成分の3次元マッピング。

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