ロームは、半導体素子の共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:RTD)を用いた第2世代のテラヘルツ波発振デバイスを開発した(ニュースリリース)。サンプル品とケーブル、評価ボードをセットにしたテラヘルツ波デバイス評価キット「RTD-EVK-G2」として、2026年8月から販売を開始する。
電波と光の中間の周波数領域に位置する電磁波「テラヘルツ波」は、電波のような透過性と、光のような直進性を併せ持つ。高分子材料や水分などに対して特有の吸収特性を示すことから、放射線を使用しない非破壊検査や、医療・ヘルスケア分野におけるイメージング・センシング、高精細なレーダーセンシングなどへの活用が期待されている。一方、従来方式では大型かつ高額な装置が必要となることから、研究や事業化への新規参入が難しいという課題があった。
同社は2000年代後半から、東京科学大学や大阪大学などの大学・研究機関と共同研究を行ない、RTDを用いたテラヘルツ波発振・検出デバイスの開発を進めてきた。2024年には第1世代品のサンプル提供を開始し、従来方式と比べて大幅な小型化と低コスト化を実現した。
今回、アプリケーション開発における信号品質向上のニーズに対応するため、小型サイズを維持しながら、発振出力を従来品比で約4倍に高めた第2世代品を開発した。第1世代品と同じ0.5×0.5mmのチップサイズながら、高出力化に適した内部構造を採用することで、発振出力を最大40μWに向上した。対象物を透過または反射した後のテラヘルツ波を検出しやすくなるため、高い信号品質が求められるセンシングやイメージングなどに活用できるとしている。
パッケージには、第1世代品と同じ4.0×4.3mmサイズのPLCCを採用し、業界最小サイズを維持したとしている。これにより、限られたスペースでも評価環境を構築できる。また、RTD方式は、周波数逓倍方式やフォトミキシング方式などと比べて発熱量が小さく、消費電力も低いため、企業や研究機関におけるアプリケーション開発の負担を軽減できるという。

評価キットは、計測ツールやパソコン、ソフトウェアと組み合わせることで、テラヘルツ波の発振・検出を評価できる。非破壊検査や医療・ヘルスケア分野のイメージング・センシング、材料識別、水分検知など、さまざまな用途の開発を後押しする。
同社は、低消費電力を重視する用途に向けて第1世代品の販売も継続する。用途に応じて両製品を提案することで、テラヘルツ波アプリケーションの開発領域を広げ、テラヘルツ技術の早期産業化と社会実装に貢献していくとしている。





