【解説】IOWN AI ファンドが示す、AI時代のフォトニクス産業の広がり

AIインフラの重心が、AIモデルを作るための大規模な設備から、完成したAIを現場に近い場所で動かす仕組みへ移りつつある。NTTなどが2026年6月10日付で発表した投資ファンド「IOWN AI Fund」(関連記事)が注目される理由は、この変化をフォトニクス産業の成長機会として捉えている点にある。

図 IOWNファンドが対象とする投資領域(提供:NTT)

生成AIやフィジカルAIの普及により、データセンターには計算能力だけでなく、低遅延、低消費電力、高効率な接続が求められる。そこで鍵となるのが、光ネットワークと光電融合技術を軸にネットワーク、演算処理、電力を一体で最適化するIOWN構想である。

同ファンドはフォトニクス、AI半導体、先端パッケージング、光デバイス、冷却、分散制御、AIソフトウェアまでを投資対象とする。単なる資金供給ではなく、次世代AI基盤を構成する技術群を横断的に育てる狙いがある。

特に光産業にとっては、通信向けに培われた光伝送、レーザー、VCSEL、コヒーレント技術などが、AI時代の社会インフラへ広がる可能性を示す動きである。IOWN AI Fundは、AIとフォトニクスの接点が研究開発段階から事業化段階へ進みつつあることを象徴する取り組みといえるだろう。(編集部 三島滋弘)

キーワード:

関連記事

  • 防衛分野で求められる光技術とは 採択研究から見えるフォトニクスの方向性

    【解説】防衛分野で求められる光技術とは 採択研究から見えるフォトニクスの方向性

    防衛・安全保障分野において、フォトニクス技術には何が求められているのか。防衛装備庁が公表した2026年度「安全保障技術研究推進制度」の新規採択課題から、その一端が見えてくる。 今回、560件の応募から47件が採択された。…

    2026.10.23
  • 湖北工業ロゴ

    湖北工業、東証プライム市場への移行が承認

    湖北工業(滋賀県長浜市)は10月19日、東京証券取引所からプライム市場への市場区分変更の承認を受けたと発表した。10月26日付で、現在の東証スタンダード市場から東証プライム市場へ移行する予定である(ニュースリリース)。 …

    2026.10.22
  • 「エッジAI半導体を実現する3Dヘテロ集積技術」プロジェクトの対象技術と課題

    東北大、半導体3D集積の産学連携組織「T-CHIPS」発足 光チップの異種集積も視野

    東北大学は、半導体先端パッケージングと異種チップ集積技術の研究開発を推進するコンソーシアム「T-CHIPS」が発足したと発表した(ニュースリリース)。プロセッサーやメモリ、シリコンフォトニクスチップなど、異なる機能を持つ…

    2026.10.21
  • 光ファイバセンシングを活用した漏水位置特定システム

    NTT、光ファイバセンシングとAIで水道管の漏水位置を15分で特定

    NTTは、福岡市管工事協同組合と共同で、光ファイバセンシングとAIを組み合わせた水道管の漏水位置特定技術の実証に成功した。地下に埋設された給水管から生じる微弱な振動を光ファイバで検出し、AIで解析することで、水平誤差75…

    2026.10.21
  • NTTなど、IOWNでトンネル遠隔施工管理を実証 1,000km先からひび割れ検査

    安藤ハザマ、NTT、1Finityの3社は、IOWNのオールフォトニクス・ネットワーク(APN)を活用し、山岳トンネルの建設現場における遠隔施工管理の実証実験を行なった(ニュースリリース)。1,000kmの長距離通信を模…

    2026.10.19

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア