IPGフォトニクス、レーザー溶接の品質保証を支える「LDD」を提案

IPGフォトニクスジャパンは2026年6月26日、愛知県安城市にある中部テクニカルセンターにおいてプライベートショー『Fiber Laser Days』を開催した。会場では、同社のファイバーレーザーを用いた加工デモに加え、2本のセミナーも行なわれた。そのうちの一つでは、インライン溶接モニター「LDD」シリーズが取り上げられ、レーザー溶接の品質保証におけるモニタリング技術の重要性が解説された。

写真 2024年6月より稼働している中部テクニカルセンター

レーザー溶接は、自動車、電池、電子部品、医療機器、精密金属加工など、多くの量産工程で採用が進んでいる。高出力ファイバーレーザーの普及により、高速で深い溶け込みを得られる一方、品質管理の難度も高まっている。特にキーホール溶接では、外観だけでは内部の溶け込み深さや欠陥を判断しにくい。従来は断面観察や破壊検査、抜き取り検査、X線検査などに頼る場面も多かったが、量産現場では全数検査やリアルタイムでの異常検知が求められるようになっている。

こうした課題に対して、LDDシリーズはレーザー溶接中の状態をインラインで測定するためのモニタリングシステムとして提案されている。OCT方式を応用したインライン・コヒーレント・イメージングにより、溶接レーザーと同軸方向から測定光を照射し、溶接中のキーホール深さやシーム位置、ワークディスタンス、ビード形状などを把握する。溶接後に結果を確認するだけでなく、加工中の変化をデータとして取得できる点が大きな特長である。

写真 リアルタイムモニタリングを可能にするLDDシリーズ

セミナーでは、レーザー発振器そのものの出力安定性だけでなく、実際の溶接品質には材料のばらつき、部品の位置ずれ、表面状態、治具精度、ギャップ、前工程の変動など、多くの要因が影響することが示された。つまり、良好なレーザーを用いていても、ワーク側や搬送・固定条件の変化によって溶接結果が変動する可能性がある。LDDシリーズは、こうした変動を加工中に捉え、異常の早期発見や工程改善につなげるための手段となる。

特にEVやバッテリー関連部品では、銅やアルミニウムなど反射率や熱伝導率の高い材料を扱うケースが多く、接合品質の安定化が重要となる。電池タブ、バスバー、モーター部品、筐体部品などでは、溶接不良が性能や安全性に直結するため、量産ラインでの信頼性確保は欠かせない。インラインで溶接深さや形状を監視できれば、抜き取り検査だけでは把握しきれない突発的な異常や工程の傾向変化を検出しやすくなる。

また、LDDシリーズは品質保証だけでなく、加工条件の最適化にも有効である。取得したデータを蓄積することで、レーザー出力、走査速度、焦点位置、材料状態などと溶接結果の関係を把握しやすくなる。これにより、立ち上げ時の条件出し、量産時の工程監視、不良発生時の原因追跡を効率化できる。レーザー加工が「職人的な条件合わせ」から、データに基づくプロセス制御へ移行していくうえで、こうしたモニタリング技術の役割は大きい。

今回のプライベートショーでは、今後の製品展開についても紹介された。2026年7月から9月には「LDD701」をリリースする予定であることが発表された。さらに、参照光のパワーを高めることで、より深い領域の観察を可能にするOCT方式の「LDD1000」についても、2027年4月から6月にリリースする計画が示された。従来よりも深い溶け込みや厚板溶接への対応が期待されるモデルとして、適用範囲の拡大が見込まれる。

IPGフォトニクスジャパンは、ファイバーレーザー発振器だけでなく、加工ヘッド、周辺機器、モニタリング技術を含めたソリューション提案を強めている。今回の安城ラボセンターでのイベントは、レーザー加工の導入検討者に対し、実機デモを通じて加工性能を示すだけでなく、量産現場で重要となる品質保証や工程管理まで含めて提案する場となった。

レーザー溶接は今後も、EV、電池、電子部品、精密金属加工を中心に応用が広がるとみられる。その一方で、量産工程における品質の見える化とトレーサビリティは、ますます重要になる。LDDシリーズは、レーザー溶接を高速・高精度な加工技術としてだけでなく、信頼性の高い量産技術として定着させるための中核的なモニタリング技術として注目されている。

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