新潟大学、岐阜大学、大阪大学の研究グループは、光周波数コムと正弦波位相変調(SPM)を組み合わせ、従来の光コム干渉計測で生じていた「盲領域」を解消する新たな3次元計測手法を開発した(ニュースリリース)。

光周波数コムは、等間隔に並んだ多数の光周波数成分からなる光源で、高精度な距離計測や分光などに利用されている。一方、光コムの周波数間隔を電子的に掃引して3D形状を取得する方式では、試料の形状や光路差によって干渉信号の振幅がゼロとなり、深さ情報を取得できない領域が生じることが課題だった。従来、この盲領域を避けるには複数の光路や検出器などが必要となり、装置構成が複雑になる問題があった。
研究グループは、干渉信号にSPMを導入することで、この盲領域を原理的に解消した。SPMによって干渉位相を時間的に変調し、従来は干渉振幅が消失する条件でも安定した信号を取得する。これにより、全視野にわたって連続した深さ情報を得ることが可能になった。
実験では、電気光学変調によって生成した10GHz間隔のEOコムを、非線形光学効果を利用してスーパーコンティニウム化し、広帯域光源として使用した。これをInGaAs高速カメラを備えたフルフィールド干渉顕微鏡に組み込み、EOコムの周波数間隔を9.995GHzから10.005GHzまで掃引した。その結果、640×518×865 voxelの3Dボリュームデータを約1秒で取得できる高速トモグラフィを実現した。光源と単一カメラで構成でき、従来の干渉顕微鏡への組み込みも容易としている。
段差標準試料を用いた測定では、段差高さの繰り返し測定で約0.05µm(2σ)の再現性を確認した。また、10円硬貨のような非鏡面試料でも盲領域を生じることなく微細な凹凸形状を3D再構成できた。さらに、内部反射を伴うガラス板についても断層構造を抽出し、サブミクロン級の厚さ測定を実現した。繰り返し測定誤差は数十nmで、従来のピーク位置を利用する手法と比較して大幅に精度を向上できることを確認した。
研究グループは、この手法について、深さ分解能の限界を超える微小変動を捉えられることから、細胞や膜構造などナノメートルスケールで変化する生体ダイナミクスの観察や、生体ダイナミックスOCTへの応用を見込む。また、非接触で高速・高精度の全視野計測ができるため、薄膜の膜厚評価や微細加工面の検査など産業計測への展開も期待できるとしている。将来的には毎秒数十~数百ボリュームの3D計測も視野に入れる。



