夏目光学、東大との産学連携による高精度X線ミラー開発が「ものづくり日本大賞」優秀賞を受賞

夏目光学(長野県飯田市)は、「ナノサイズの微小世界から何億光年と遥か宇宙の彼方を探る高精度X線ミラーの開発」により、第10回「ものづくり日本大賞」優秀賞を受賞した(ニュースリリース)。本開発は、東京大学先端科学技術研究センターの三村秀和教授との産学連携によって2012年から本格的に進められてきたものである。加工・計測・電鋳(でんちゅう)転写という三つの基幹技術を融合させることで、製造精度を飛躍的に向上させた点が極めて高く評価された。

開発の過程では、細長いガラスを高精度に仕上げる工程が大きな技術的障壁となったが、夏目光学が長年培ってきた高度な研磨技術を応用することでこの課題を克服し、大きなブレイクスルーを成し遂げた。また、三村教授が2006年頃に着想した「電鋳技術をミラー製造に応用する」という独創的なアイデアは、当初は学会等で注目されなかったものの、同社との粘り強い共同研究を経て、現在では産学連携の成功モデルとして広く認知されるに至っている。

この高精度X線ミラーは、すでに太陽観測ロケット打ち上げ実験プロジェクト「FOXSI-4」に搭載されたほか、国内外の放射光施設へも納入されるなど、最先端の科学研究において不可欠な役割を果たしている。今後は、これまでの開発成果を基に製造部門への移行を本格化させ、X線ミラーの安定供給体制の確立を目指していく方針である。

昨今の光技術分野では、生成AIの普及に伴う光ファイバーの高性能化や量子中継技術、次世代半導体レーザーの開発など、社会基盤を支える多角的な技術革新が加速している。その中で、ナノレベルの精度で極微の世界と宇宙の深淵を繋ぐ夏目光学のミラー技術は、日本のものづくりが世界最高峰の科学探求を支え続ける象徴的な事例と言えるだろう。

キーワード:

関連記事

  • 名城大と三重大、AlGaN系UV-B半導体レーザー高効率化の要因を解明

    名城大学と三重大学は、AlGaN系UV-B半導体レーザーの電力・光エネルギー変換効率(WPE)を制限する主な要因が、これまで重視されてきた光閉じ込めではなく、内部光損失であることを実験的に明らかにした。さらに、内部光損失…

    2026.08.18
  • 古河電工、光ファイバー生産能力増強に1,000億円投資

    古河電気工業は、光ファイバーおよび光ファイバーケーブルの生産能力を増強することを発表した(ニュースリリース)。 近年、生成AIの急速な普及やクラウドサービスの高度化を背景に、世界的なデータセンタ市場が力強い成長を続けてい…

    2026.08.05
  • 横河計測、 xEVモーター評価を効率化する新型パワーアナライザーを発売

    横河計測は、高精度電力計「WTシリーズ」の新製品である「プレシジョンパワーアナライザー WT1500」を開発した。同製品は2026年8月19日に発売予定となっている。 xEV技術の進展や再生可能エネルギー市場の成長に伴い…

    2026.07.22
  • オプトサイエンス、マルチ計測デバイス「Moku」と高感度カメラを紹介【光・レーザー関西2026】

    輸入技術商社のオプトサイエンスは、複数の計測機能を1台に集約したマルチ計測デバイス「Moku」と、微弱光の検出に対応する科学計測用高性能カメラを紹介していた。 豪Liquid Instruments社の「Moku:Del…

    2026.07.16
  • ファイバーラボ、OバンドからC・Lバンドまで対応する光源製品を紹介【光・レーザー関西2026】

    ファイバーラボは、Oバンド光ファイバーアンプやC・Lバンド広帯域ASE光源をはじめ、光通信機器の評価や研究開発に用いる光源・光ファイバー関連製品の展示されていた。 同社は、KDD研究所(現・KDDI総合研究所)におけるフ…

    2026.07.15

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア