曲面ミラーで光を制御
─ GaN 系VCSEL の実現が難しい点はどこか
VCSELは上下の反射鏡で光を閉じ込め、その間でレーザー発振させる構造です。赤外領域の材料では高性能な反射鏡を比較的作りやすいのですが、GaN系材料ではそこが難しいところです。高反射率のミラーを作ること、電流を効率よく注入すること、熱を逃がすこと、光を横方向に閉じ込めることなど、複数の課題があります。
特に可視光VCSELでは、共振器の設計が重要です。光を強く閉じ込めればよいという単純な話ではなく、損失や発熱、発振モードとのバランスを考えなければなりません。材料、プロセス、光学設計、電気特性、熱設計がすべて関係してくるため、一つの要素だけを改善しても、よいデバイスにはなりません。そこが難しさであり、研究として面白いところでもあります。
─曲面ミラー構造を重要なテーマにしている
VCSELでは、光をいかに効率よく共振器内に閉じ込めるかが重要です。従来の平面ミラーでは、横方向の光閉じ込めを別の方法で工夫する必要があります。一方、曲面ミラーを使うと、レンズのような効果によって、光を自然に閉じ込めることができます。GaN系VCSELに曲面ミラー構造を導入することで、低しきい値化やモード制御が期待できます。より少ない電流で発振できれば、消費電力や発熱を抑えることにつながります。また、どのようなモードで発振させるかを制御できれば、ディスプレイや計測など、用途に応じた光源設計もしやすくなります。VCSELは小さなデバイスですが、その中で光の振る舞いをどう設計するかがポイントになります。
─現在の研究段階について
GaN系VCSELは、研究としてはかなり進展してきています。曲面ミラー構造によって、光閉じ込めや発振特性を改善できることも分かってきました。一方で、産業応用を考えると、まだ越えるべき課題は多くあります。再現性よく作ること、アレイ化すること、駆動時の発熱を抑えること、長期信頼性を確保することなどです。
研究室では、半導体ウエハープロセス、素子評価、設計、シミュレーションを組み合わせながら、デバイスとしての完成度を高めていきたいと考えています。最近はAIやデータ解析も重要になっています。プロセス条件や構造設計には多くのパラメータがありますので、経験だけでなく、データを活用した研究の進め方も取り入れていく必要があります。




