ウェアラブルから核融合へ
─ GaN系VCSEL の実用化によって期待できる応用とは
分かりやすい応用の一つは、ウェアラブルディスプレイです。ARグラスやスマートグラスでは、光源を小型化し、消費電力を抑えながら、高い輝度や色再現性を実現することが求められます。可視光VCSELはアレイ化しやすく、ビーム品質も制御しやすいため、次世代ディスプレイ光源として期待できます。
例えば、GaN系VCSELで培ったデバイスの知見を近赤外に「逆輸入」することで、近赤外VCSELの可能性を拡げることができます。センシングや計測にも可能性があります。レーザーはLEDに比べて単色性や指向性に優れているため、距離計測、生体計測、微小な物体の操作など、さまざまな分野で使うことができます。さらに、半導体レーザーを高出力化していくことで、従来は大型レーザー装置が必要だった領域にも、新しい選択肢が生まれる可能性があります。
──フュージョンエネルギー応用に向けた研究も掲げられています
核融合では、高出力レーザーが重要な役割を果たします。従来の大型レーザー装置は非常に大規模で、コストも高くなります。そこで、半導体レーザーを高出力化し、高効率で安定に動作させることができれば、将来的にエネルギー分野へも貢献できる可能性があります。
もちろん、現在の半導体レーザーをそのまま核融合に使えるという話ではありません。出力、ビーム品質、位相制御、熱設計など、越えるべき課題は大きいです。ただ、小さな半導体レーザー素子を多数組み合わせ、位相をそろえて使うことができれば、従来とは異なる高出力レーザーシステムの道が開けます。
─位相同期技術とは
複数のレーザーを足し合わせるとき、単に光を重ねるだけでは高品質なビームにはなりません。光は波ですので、波としての位相をそろえる必要があります。位相がそろえば、複数のレーザーを一つの大きな光源のように扱える可能性があります。
半導体レーザーは小型で効率が高い一方、単体で得られる出力には限界があります。そのため、多数のレーザーを協調して動作させる技術が重要になります。これは核融合だけでなく、加工、計測、通信などにもつながる基盤技術だと考えています。



