企業をつなぎ、実装への道筋を描く
─今後の拠点の展望は
まずは、社会実装の実績を作ることです。まず一つ実現し、その数を増やしていくことが重要です。同時に、Meta-RIC®という拠点の認知度や価値を高めていきたいと考えています。現在、コンソーシアムにはおよそ24 社、90 ~ 100名ほどが参加しています。設立から数年が経ちますが、参加企業の離脱が少なく、継続して参加してくださっているのが特徴です。これは、社会実装を本気で目指している拠点だとご理解いただいているからだと思います。
Meta-RIC®の大きな役割の一つは、サプライチェーンを構築することです。メタマテリアルは、設計技術、製作技術、評価技術、アプリケーション、顧客とのつながりなど、さまざまな要素が揃って初めてビジネスになります。
─どのようなことでしょうか
各企業は、そのサプライチェーンの一つのピースになり得る技術を持っています。しかし、自社の技術をどのように供給し、次にどの企業がどう加工し、最終的にどの市場へ届けるのかが見えていない場合が多い。私は各企業の強みを把握しているので、この企業とこの企業をつなげば何かできるのではないか、と提案することができます。
私が仲介しなくても、企業同士が親しくなり、自発的にサプライチェーンが生まれることもあります。これは通常、なかなかできないことです。企業は秘密保持の観点から、自社の情報を簡単には開示しません。しかし、大学が主導するコンソーシアムだからこそ、フレキシブルに運営できる。そこに大学が担うべき役割があると感じています。
─若い研究者や学生へのメッセージ
若い研究者や学生には、まず自分の専門分野の学問をしっかり身につけてほしいと思います。そのうえで、専門分野だけに閉じこもるのではなく、多様な分野との接点を積極的に持ってほしいです。最近は、分野融合が重要だとよく言われます。それは確かに大事です。しかし、それだけでは十分ではありません。自分の強みとなる学問を、深くしっかり学ぶことが非常に重要です。
学問は、未知のものを理解するための大切な手がかりであり、新しい知見を他者と共有するための共通言語でもあります。だからこそ、その共通言語を深く身につけることが、新しいものに出会う確率を高めるのだと思います。若い人たちには、好奇心を持って新しいことに挑戦しながら、自らの専門性を磨き、多様な分野との交流を通じて視野を広げていってほしい。その積み重ねが、将来の大きな発見や新たな価値の創造につながると信じています。




