ニコンは、フレキシブルエレクトロニクスの量産実用化に向けた共創拠点「S3S LAB(エス スリー エス ラボ)」を開設し、Roll to Roll(R2R)方式のマスクレス露光装置を中核設備として導入した(ニュースリリース)。

狙いは、フィルム基板上の回路形成で障壁となってきた「試作から量産プロセス検証までの距離」を縮め、外部企業・研究機関が低い初期投資で実装評価を回せる環境を提供する点にある。R2Rとマスクレス露光の組み合わせにより、フォトマスク不要で設計変更を即時反映できるほか、連続搬送下での基板伸縮・歪み補正を前提としたパターニングが可能となり、フレキシブル基材の量産適用に直結する技術要件を押さえた構成となっている。

光技術分野への波及としては、ディスプレーやセンサー、ペロブスカイト太陽電池といった「柔軟基板で機能価値が生じる光デバイス」の実証・事業化が加速する可能性が高い。フィルム上での電気配線と光機能の同一基板集積、大面積・長尺デバイスのインライン製造検証、さらに欠陥管理や検査手法の確立まで、研究室スケールでは詰まりやすい工程を実プロセスに近い条件で評価できる。
要するにS3S LABは、同社が保有するR2Rマスクレス露光技術を「共創インフラ」として外部に開き、フレキシブル市場の立ち上げと製造エコシステム形成を主導する布石である。フォトニクス側から見れば、フレキシブル光デバイス量産のプロトタイプラインが国内に整備された意義は大きく、材料・素子・検査計測の各プレイヤーを巻き込んだ応用展開の広がりが注目される。



