オーク製作所は,NEDOの委託事業「省エネエレクトロニクスの製造基盤強化に向けた技術開発事業」において,フォトマスクを使用せず,半導体基板に回路パターンを焼き付けるダイレクト露光装置で,従来よりも高い解像性および位置合わせ精度を実現可能な次世代技術と,その技術を搭載した装置を開発した(ニュースリリース)。
最近急速に発展,普及している人工知能(AI)技術は,莫大なデータを高速に処理する必要があり,その処理を担うAIデータセンターには高い処理能力ながら低消費電力が要求されることから,高性能な先端半導体を搭載した演算処理装置が不可欠となっている。
一方,高性能化を実現してきた従来の半導体の微細化技術が物理的・経済的な限界を迎える中で,半導体回路を機能単位に小さく分割し,おのおの最適な技術で製造する,チップレット集積技術が着目されてきた。
この実現のためには,各層の位置を正確に合わせるアライメント技術,隙間なく重ね合わせる接合技術,積層したチップを高精度で相互に配線接続する技術など,高度な製造技術が求められる。
このような背景の下,NEDOは半導体製造装置の高度化に向けた開発に取り組んでいる。その一環として,2022年度からこの事業で先端パッケージに求められる微細回路パターンを焼き付ける露光装置のうち,回路パターンを転写するための原版であるフォトマスクを使用しないダイレクト露光装置の高度化に向けた開発を,同社と共同で進めてきた。
ダイレクト露光装置は,フォトマスクの設計や製造にかかる時間とコストを削減し,先端パッケージの開発期間の短縮や量産時のプロセス効率化を可能とする特徴がある。しかし,先端パッケージの製造に適用するには,配線を微細化するための解像性や,正確な位置に露光するための位置合わせ精度の向上が必要だった。
この事業で同社は,フォトマスクデータに従って空間光変調素子を高速で制御する技術と,高解像光学系を開発し,回路基板上の感光性材料に線幅1μmの回路を形成することに成功した。今回開発した微細化技術により,有機材料上で線幅2μmの銅めっき配線形成が実現可能である事を確認した。
さらに,高精度で繰り返し再現性に優れた本体ステージとともに,基材上のアライメントマークを読み取る高精度カメラでのリアルタイム位置補正技術を開発した。これにより,510×515mmの露光サイズ全面に対して0.5μmの精度で回路パターンの配置が可能となった。
また,リアルタイム位置補正技術を応用して,ダイシフトに対応可能なダイバイダイ・アライメント技術を開発した。
同社は,この装置を2025年度内に製品化するとともに,2025年度から2026年度にかけてシリーズ化を目指すとしている。




