光通信分野で世界最大級の国際イベント「OFC 2026」が米国ロサンゼルス・コンベンションセンターで開幕した。会期は2026年3月19日(米国時間)までで、カンファレンスは15日から行なわれているが、展示会は17日にスタート。会場は一気に熱気を帯びている。主催者によれば、約90カ国から1万6,000人が参加し、700社以上が出展する過去最大規模の開催となった。また、展示スペースも早々に完売になったとし、光通信分野への関心の高まりが鮮明になっていることが見てとれる。

OFCは、光ファイバー通信およびネットワーク技術に関する研究発表と産業展示を兼ね備えた国際会議であり、50年以上にわたり業界の技術潮流を牽引してきた。基幹通信からデータセンター、半導体実装までを横断する技術が一堂に会する点が特徴である。2000年代初頭のITバブル崩壊以降は、低迷していたOFCだが、昨今のAIブームによってデータセンターの新設・増強を背景とする光通信技術の盛り上がりが、過去最大規模の開催を後押しすることになった。

今回の最大のテーマは、その生成AIの普及によって急拡大するデータ需要への対応だろう。AIデータセンターでは膨大なデータ転送が発生し、従来の電気配線だけでは帯域・消費電力の両面で限界が見え始めている。このため、光インターコネクトの適用範囲は従来の長距離通信から、ラック内、さらにはチップ近傍へと急速に広がっている。
その象徴的な動きが、エヌビディアによる光通信企業への大型出資だ。同社は米国のコヒレントとルーメンタムに出資し、AIインフラを支える光技術の確保と強化に乗り出した。GPUを中心とした計算基盤と光インターコネクトが一体で設計される時代に入ったことを示す動きであり、会場でも大きな関心を集めている。
こうした潮流を背景に、3月17日午前には全体会議(プレナリーセッション)が開催され、コヒレントCTOのJulie Sheridan氏とエヌビディア AIインフラ担当上級副社長のAlexis Bjorlin氏が登壇した。両社はAI時代における光ネットワークの役割や、データセンターアーキテクチャの進化について講演し、光技術が単なる通信手段を超えて計算基盤そのものを構成する要素になりつつある現状とAIファクトリーへのロードマップを示した。



技術面では、光電融合の進展が大きな焦点となっている。NTTイノベーティブデバイスは、シリコンフォトニクスを用いた小型コヒーレント光送受信デバイスの製品化を進めており、光と電子回路を高密度に統合する技術の実用化が加速している。こうした取り組みは、コパッケージドオプティクスや近接光接続といった新たな実装技術とともに、データセンターの電力効率向上に直結するものとして注目される。
展示会場では、800Gや1.6Tといった高速伝送技術に加え、シリコンフォトニクス、レーザー、光モジュール、測定技術など、次世代ネットワークを構成する幅広い製品・技術が披露されている。スタートアップから大手企業までが一堂に会し、実用化段階に入った技術と将来技術が混在する点もOFCの特長だ。



最終日となる19日には、今後の光通信技術を方向付けるだろう『Postdeadline Session(ポストデッドラインセッション)』も予定されている。 OFC 2026は、光通信が単なる「伝送技術」から、AI時代の計算基盤を支える「実装技術」へと進化している現実を示す場となっている。光電融合を軸とした新たな技術競争が、ここからさらに加速していくことは間違いない。



