青色レーザー加工技術のさらなる発展
―NEDOの経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプロ)で金属積層造形システム技術の開発・実証の中で,先生のグループが採択されました。
Kプロでは,PBFに関しては従来の200Wから1kWへ,DEDに関しては600Wから10kWへの高出力化を提案し,これが特長の一つとなっています。もちろん,プロジェクト全体としてはアプリケーションの開発も重視されており,電気自動車関連の部品や部材を純銅で造形する取り組みも含まれています。

よくある誤解として,「青色半導体レーザーは純銅専用なのでは?」という声があります。しかし,吸収率の波長特性を見れば,他の金属に対しても高い吸収率を示すことがわかります。今後,同等の性能・価格が実現されれば,青色レーザーの適用範囲は大きく広がるでしょう。Kプロでは純銅だけでなく,多様な材料への応用も視野に入れて開発を進めています。
―どのような応用が想定されているのでしょうか
例えば,火力発電所の内壁は,腐食や摩耗によって劣化します。現在は溶射技術による補修が主流ですが,溶射では密度がやや粗く,内部にガスが侵入してしまう懸念があります。私たちのDED技術であれば,密度の高い被膜を形成し,より確実な保護が可能になります。実は,火力発電所の内壁は単なる平面ではなく,水が流れる3次元構造になっており,立体形状に合わせた積層造形が必要です。そのため,DEDによる高度な自由形状対応が求められます。
また,一般的な3Dプリンターというと「コップを作る」といった単純なものづくりを想像しがちですが,Kプロでは実際の産業で必要とされる部品,特に形状が複雑で,かつ長寿命化に寄与する部材の製造に重点を置いています。さらに,鉄工所におけるギアの破損にも対応できます。従来は予備品をストックする必要がありましたが,DEDによってその場で修復できれば,生産効率を下げることなく運用が可能となります。
―各社の役割分担とシステム開発の方向性は
現在進めている10kW級の高出力青色レーザーの開発は,古河電気工業さんと日亜化学工業さんとが連携して行なっています。また,島津製作所さんでは詳細は公開できませんが,純銅部品の造形に特化した専用システムの開発が進められています。
一般的に,市場に出回っている3Dプリンターは汎用機ですが,用途を限定した専用機にすることで低コスト化が可能です。機能を絞ることでシンプルかつ経済的な装置開発が実現できるのです。
私たちのチームが他の採択プロジェクトと大きく異なるのは,「高出力レーザーの開発」と「具体的なアプリケーション開発」の両方を同時に進めている点です。技術開発だけでなく,それを使って何を造るかまで一貫して取り組んでいます。
もう一つ,大事なことはデータベースプラットフォームです。今回のKプロでは,AIを活用した統合型データベースの構築にも取り組んでいます。3Dプリンティング用のデータベースとプログラムの開発は,MI-6が担当しています。プラットフォームを構築する上で重要なのは,国産技術に基づいていることです。
現在,国内には有料で利用可能なデータベースサービスもありますが,Kプロでは「オール国産」で開発・運用されている機関を優先的に活用すべきという考え方を持っています。



