金属3Dプリンターの可能性を切り拓く青色レーザー技術が注目を集めている。純銅の積層造形に挑み,日本独自の技術として実用化を目指している塚本氏に,研究の歩みと展望,そして教育者としての信念について話を聞いた。

青色レーザーを日本独自の技術にする
─先生が現在メインとされているご研究について教えてください
金属3Dプリンター,特に純銅に特化した積層造形技術の研究開発を行なっています。純銅の3Dプリンティングには,吸収率の高い青色レーザーが非常に有効であることが知られています。私たちは2020年まで,NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」プロジェクトに参加し,純銅3Dプリンター用の青色レーザーの開発に取り組みました。
このプロジェクトでは,PBF(粉末床溶融結合法)に対応する青色レーザーは出力200W,DED(指向性エネルギー堆積法)ではマルチビーム方式により600Wを実現しました。そのうち,DED方式の装置は,ヤマザキマザックさんの3D造形システムに搭載されました。さらに溶接用途としては最大1.5kWの青色レーザーも開発しています。
NEDOプロジェクト終了後も開発を止めず継続するために,島津製作所さん,古河電気工業さん,日亜化学工業さんにご協力いただき,「青色半導体レーザー接合加工共創コンソーシアム」を立ち上げました。これは産産学連携を特長とするコンソーシアムです。
このコンソーシアムでまずは,NEDOプロジェクトで開発した青色レーザーを応用展開する活動を始めました。現在は23社が会員として参画されています。 開発面で特に重要なのは青色レーザーの高出力化です。ユーザーの声がコンソーシアムを通じてフィードバックされることで,島津製作所さん,日亜化学工業さん,古河電気工業さんがそれぞれ高出力化に対応するという開発体制になっています。
─先生が青色レーザーの開発にこだわり続けられている理由をお聞かせください
次の展開へと進むためには,やはり国家プロジェクトが重要な鍵を握ります。そのため,私たちは今後の方針を模索していました。関係者との議論の中で,諸外国,特に中国の動向についても情報を共有しました。
中国では非常に安価な近赤外ファイバーレーザーが普及しており,需要も多いと聞いています。極端な例を挙げれば,従来のようにレーザーを修理するのではなく,電球を交換するように使い捨て感覚で利用される方向へと進んでいるとも言えます。
そのような状況になると,従来アーク溶接で対応していた工程がレーザー溶接に置き換わっていきます。日本企業の中にも近赤外レーザーで技術開発を進めているところはありますが,価格競争が激化する中では,日本の企業が不利になる懸念があります。
そうした中で,「日本独自のレーザー技術とは何か?」と考えたとき,答えは青色半導体レーザーに行きつくのです。



