光の拠点である光学博物館を日本にも

チームオプト㈱で設計やコンサルティング活動をする一方で光学博物館の構想を立てている槌田氏。今回,チームオプト㈱設立経緯から,光学博物館について話を聞いた。

原点は好奇心─カメラと虫眼鏡が導いた光の世界

─光に興味を持ったきっかけを教えてください

小さい頃,家にあったカメラを使わせてもらった時,綺麗に写ったことに感動し,自然とカメラに興味を持ち始めたのが今につながる原点です。また,母に買ってもらった虫眼鏡も大きなきっかけのひとつでした。理科の授業の一環で家から持ってくるように言われ,大きめのものを手に入れた記憶があります。虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がしたり,拡大して物を見たりすることを繰り返す中で,「なぜ大きく見えるのか?」「どうして火がつくのか?」といった素朴な疑問が湧きました。特に,光をなるべく小さな点に集めようとしても,ある大きさ以下にはならないことに気づき,これは何故なんだろうと子どもながらに不思議に思っていました。

その後オリンパスに入社し,光学の知識を深めていく中で,当時の小さくならない理由が太陽の像によるものであると理解することができました。子どもの頃の体験と疑問が,現在の専門性につながっていることを振り返ると,自らの好奇心が進路や職業に結びついたことを実感しています。

─チームオプト㈱の設立経緯を教えてください

もともと「55歳で会社を辞めてセカンドステージに進もう」と漠然と考えていました。ちょうどそのタイミングが近づいた頃,仲の良い仲間たちと飲み会で,光学博物館を作ろうという夢を語りました。しかし博物館ではビジネスにならないという現実もあり,まずはコンサルティング会社を立ち上げてビジネスを始め,博物館のことはあとで考えようという話になりました。

あくまで飲み会の場でしたが,「まず自分が辞めて会社を立ち上げるから,あとで合流してほしい」と仲間に呼びかけたところ,ほとんどのメンバーがその言葉通りに行動し,参加してくれたのです。最初は6 人のメンバーでスタートし,徐々に増えて現在では12 人で運営しています。実際には55 歳で退職するつもりだったものの,仕事の引継等で少し遅れてしまい,最終的に56歳で退職しました。会社にはセカンドライフ支援の制度があり,それを活用して1 年間準備期間を過ごし,新会社を設立しました。決断と仲間との行動が,今の活動の礎になっています。

関連記事

  • シミュレーションが加速させるフォトニクスの革新と「ものづくり」の未来

    自動運転や医療を支えるフォトニクス設計が変革期にある今、アンシスのトム・オーマイヤ博士に話を聞いた。CERN(欧州原子核研究機構)での研究を経て次世代の設計環境を構想する博士に、シミュレーションの進化、日本の「ものづくり…

    2026.06.17
  • メタサーフェスが生み出す、光学の新常識

    新聞やニュースでも取り上げられる機会が増えたメタサーフェス。大阪大学の髙原淳一教授は、光学的なアプローチでメタサーフェスの研究を進めている。髙原教授の研究の歩みをたどりつつ、その可能性と将来像について話を伺った。 メタサ…

    2026.05.18
  • 京都大学 特別教授 野田進教授

    フォトニック結晶レーザーが拓く「高輝度半導体レーザー」の次章

    半導体レーザーは小型、高効率という強みを持つ一方で、高出力化するとビームが乱れ「輝度」が伸びないという壁があった。フォトニック結晶レーザーはその常識を塗り替えつつある。その研究の先駆者である京都大学高等研究院・特別教授の…

    2026.04.02
  • (英)Photon Design Ltd CEO/創業者 ドミニク・ギャラガー氏

    フォトニクス黎明期から現在まで

    フォトニクス産業の黎明期から、デバイス物理と数値シミュレーションの最前線に立ち続けてきた研究者がいる。フォトンデザイン(英国)のドミニク・ギャラガー博士だ。研究者としての原点、ソフトウェア開発の思想、そしてフォトニクスの…

    2026.03.25
  • ガラス加工に息づく“勘と感覚”を、次の世代へ

    ガラス加工に息づく“勘と感覚”を、次の世代へ

    橘光学(東京都世田谷区)は、試作・開発段階から製品化までのプロセスを支援する“柔軟な光学部品パートナー”として位置づけられる。高品質な光学部品が評価されており、橘社長は今後も「確かな精度で応えるものづくり」を通じて光産業…

    2026.02.16

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア