大阪大学レーザー科学研究所・准教授の中田芳樹氏らの研究グループは、光の波面が渦状に進む「光渦」を3,070個同時に整列させた大規模光渦アレイを、メガワット級の高出力で生成したと発表した(ニュースリリース)。
光渦は軌道角運動量を持つ特殊な光で、量子技術やフォトニクス分野で注目されている。一方、従来技術では同時に生成できる数や扱える出力に制約があり、「多数生成」と「高出力化」の両立は難しい課題とされてきた。
今回の研究では、光渦を記述する光学モード理論を再構築し、多ビーム干渉技術と組み合わせたという。これにより、特殊材料や複雑な制御を用いず、既存の光学素子のみで、多数かつ高出力の光渦生成を可能にしたとしている。
研究グループによると、従来手法と比べて光渦数とピーク出力の両面で1,000倍以上の向上を達成したという。実験では、生成された各光渦が明瞭な特異点構造を持つことも確認した。この技術の特長は、数千の光渦を同時に扱える「超並列性」にあるという。多数の空間点を同時に励起・制御できるため、従来は逐次的に行っていた光制御を空間的に並列化できるとしている。

また、研究グループは、メガワット級の光渦アレイを用いた銅表面加工により、キラル・ナノ構造の形成を確認したという。高強度条件下でも光渦構造が有効に機能することを示したという。
この成果は、超並列レーザー加工のほか、広帯域キラルフォトニクスや高強度光場における軌道角運動量の研究などへの展開が期待される。量子技術や生命科学分野においても、新たな光−物質相互作用の制御基盤として応用が見込まれている。



