科学大など、発光する有機太陽電池を開発、発電ディスプレイ実現へ

東京科学大学、北海道大学、大阪大学などの研究チームは、発光機能と発電機能を併せ持つ有機太陽電池を開発した(ニュースリリース)。

太陽電池と有機ELはともにダイオード素子であるが、1つの素子内で発電と発光を高効率で両立することは難しく、これまで実現例は限られていた。

今回の研究では、有機EL分野で用いられる2種類の発光分子を組み合わせることで、光発電機能と発光機能の両立を図ったという。具体的には、励起三重項状態への遷移を抑制する理想的なエネルギー構造を設計し、材料界面から高輝度の赤色発光を得た。

(写真)同一素子で太陽光発電し、自らで発光する

試作した素子は、太陽光下で発電しながら蓄電器に電気を蓄え、その電力で自ら発光する動作を確認したという。また、ν-DABNAとQAOの組み合わせでは、開放端電圧1.83Vと理論限界に近い高電圧を示し、1%以上の光電変換効率を達成した。さらに、順方向電圧を印加した際には620nm付近の赤色発光を示し、1,000cd/m²以上の高輝度を確認した。

発光効率向上の要因としては、無輻射再結合の大幅な抑制が挙げられており、その速度は従来の有機太陽電池と比べて約100万倍遅いことが確認されたとしている。今回の成果により、スマートフォンディスプレイに発電機能を持たせるといった応用が期待されるほか、有機太陽電池の電圧向上や高効率化に向けた設計指針にもつながるという。

今後は、発電効率と発光効率のさらなる向上や、広い波長域の光吸収、材料構造の最適化などにより実用化を目指すとしている。

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