電通大、次世代カメラの解像度測定と精密アライメント技術を開発

電気通信大学の研究グループは、カメラ性能を評価する2件の新たな技術を開発した(ニュースリリース)。

1件目は、カメラの解像性能を示すMTF(変調伝達関数)を高精度に測定する技術。現在、MTF測定では黒白の境界線を用いる「傾斜エッジ法」が広く使われているが、ノイズやレンズによる歪曲収差の影響を受けやすいという課題があった。研究グループは、斜めに配置した正弦波パターンを撮影し、得られた画像を非線形最小二乗法(NLSE)で解析する手法を開発。小さな画像領域でもノイズの影響を抑え、高精度な空間周波数応答の測定を可能にした。

シミュレーションおよび実機実験の結果、この手法は従来の傾斜エッジ法に比べ、特にノイズが多い環境で高い安定性を示した。また、センサの読み取り限界であるナイキスト周波数を超える高周波領域でも、折り返しノイズの影響を排除してMTFを算出できることを確認した。これにより、画像全体の歪みを考慮しながら、局所的な解像性能を正確にマッピングできるという。

(図)1件目の論文の概要

2件目は、カメラの全面合焦を実現するための「3次元シャインプルーフの原理」に基づくアライメント技術。スマートフォンカメラなどでは、レンズとイメージセンサがわずかに傾いて取り付けられることで、画像の一部にボケが生じることがある。従来のシャインプルーフの原理は1方向の傾きにしか対応していなかったが、研究グループはこれを3次元空間へ拡張し、2軸の傾きを独立して調整できる理論を構築した。

この理論により、従来は2軸の傾きを網羅的に探索する必要があったピント合わせを、縦横それぞれの1次元探索に簡略化できる。実験では、従来100回必要だった測定を20回に削減できることを示し、計算コストと調整時間を大幅に低減できる可能性を確認した。

これらの技術は、自動運転車や運転支援システム向けカメラ、医療用内視鏡・X線撮影、衛星画像、スマートフォンカメラ、産業用ロボットの視覚システムなど、高精度な画像取得が求められる分野への応用が期待される。

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