阪大など、超高強度レーザーとXFELでナノ構造内部のプラズマを直接可視化

大阪大学、ネバダ大学、レーザー技術総合研究所、高輝度光科学研究センター、理化学研究所、関西大学は、ナノワイヤー内部で発生するプラズマの動的な挙動をX線自由電子レーザー(XFEL)を用いて直接可視化することに世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

ナノワイヤーは、ナノメートルサイズの細かい柱状構造が密集した材料であり、レーザー光を内部に取り込みやすいため、通常の平坦な材料よりも効率的にエネルギーを吸収できるという優れた特性を持っている。しかし、その内部で起こる現象は、空間的にはマイクロメートル以下、時間的にはピコ秒(1兆分の1秒)以下という極めて微細かつ高速なものであるため、これまでは数値シミュレーションや間接的な計測に頼らざるを得ず、直接的な観測は極めて困難とされてきた。

この課題を解決するため、研究グループは大型放射光施設SPring-8に隣接するSACLAのXFELを活用し、超高速現象を高い時間分解能で捉える「ポンプ・プローブ計測」を実施した。実験では、ナノワイヤーとその土台となる基板に異なる材料を用いることで、XFELのエネルギーを調整し、それぞれの領域でのエネルギー蓄積や移動を個別に追跡できる工夫が施された。観測の結果、レーザー照射直後にプラズマが約120eV(約120万度相当)まで急速に加熱された後、約10ピコ秒後にはナノワイヤー構造が崩壊する過程でさらに温度が約140 eVまで上昇するという、構造変化が追加の加熱に寄与するプロセスが明らかになった。

さらにこの研究では、ナノ構造特有のエネルギー閉じ込めメカニズムも解明された。微細な柱状構造の隙間や、その周囲に形成される磁場の影響によって電子の横方向への移動が抑えられるため、エネルギーが周囲に拡散せず、局所的に高温状態が維持されることが分かった。また、ナノワイヤー部分で発生した高エネルギー電子が、わずか0.2ピコ秒ほどで下の基板へ到達する様子も特定された。


今回の成果は、レーザーエネルギーをナノ構造によって制御するという新しい考え方を示すものであり、将来の小型核融合技術や、高効率なレーザー加工、高輝度X線源の開発、粒子加速といった広範な分野における材料設計の重要な指針になると期待されているという。今回確立されたXFELによる計測技術は、今後さまざまな微細構造材料や極限状態物質の研究、そして高エネルギー密度科学の発展に大きく貢献するものと考えられるとしている。

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