富士経済は、工場・物流施設やサービス分野で利用される自律走行ロボットの国内市場を調査し、その結果を発表した(ニュースリリース)。2035年の市場は10万2,000台となり、2025年比で5.1倍に拡大すると予測している。人手不足を背景とした自動化需要を受け、工場・物流向けのAMRやAGV、サービス分野向けの清掃・警備ロボットなどの導入が進むとみている。

調査対象は、工場・物流向けのAGV(無人搬送車)、AMR(自律走行搬送ロボット)、屋外無人搬送車と、サービス分野向けの業務用清掃ロボット、配膳ロボット、警備ロボット、デリバリーロボットなどである。これらと連携するフリートマネジメントシステムやナビゲーションシステム、ロボットプラットフォームなどのソフトウェア関連市場も分析した。
工場・物流向けでは、2025年にAMRの販売台数が前年比2.1倍となり、AGVのQRグリッド式を上回ったという。小型で軽量物の搬送に特化した製品の導入が進み、これまで自動化の対象になりにくかった工場内のラストワンマイル搬送や軽作業などに用途が広がったとしている。
AMRは、走行経路に磁気テープなどのガイドを必要とせず、周囲の人や障害物を検知しながら移動できる。工場や倉庫のレイアウト変更にも比較的柔軟に対応できることから、スマート工場やスマート物流を支える搬送手段の一つとして需要が拡大する可能性がある。
今後は、AMRとQRグリッド式AGVが年率2桁を超える伸びを続けると予測している。屋外無人搬送車についても、屋外ヤードや建屋間など、自動化が進んでいない搬送工程を対象に導入が進むとみられる。一方、磁気テープ・レール式AGVは、走行の安定性や運用のしやすさを背景に、安定的な需要が続くとしている。
サービス分野では、2025年に業務用清掃ロボットが市場拡大をけん引した。製品に対する認知の広がりや現場での受容性の高まりに加え、用途に応じた製品の増加や新規参入企業の拡大が販売台数を押し上げたという。今後も、人手不足や高齢化、人件費の上昇を背景に、堅調な伸びが予想されている。
配膳ロボットは、飲食店などで一定の導入が進んだことで大型の新規案件が減り、2025年の販売台数は前年比35.0%減となった。今後は新規需要に加え、既存製品の追加導入や更新需要を取り込みながら、緩やかに市場が拡大するとみている。
警備ロボットは、現時点では販売台数が限られるものの、2026年以降に新規参入が増えることで、高い伸びが見込まれるとしている。デリバリーロボットについても、施設内での実証導入から本格導入への移行や、屋外配送における遠隔監視の効率化、国の支援策などを背景に、需要が拡大する可能性がある。
富士経済は、工場や物流施設、商業施設などで深刻化する労働力不足が、自律走行ロボット市場の成長を後押しするとみている。今後はロボット単体の性能だけでなく、複数機種を統合管理するソフトウェアや、エレベーター、施設設備との連携技術も、市場拡大の重要な要素になりそうだ。



