世界最大の光学展示会
3月15日から米国ロサンゼルスでOFC(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)が開幕する。通信バブル崩壊後、存在感を失っていた同会議・展示会であるが、光電融合技術の実装が進むにつれ、近年は再び注目を集めるようになってきた。この変化は通信分野にとどまらず、フォトニクス全体に共通する潮流でもある。世界最大のフォトニクス展示会である Photonics Westも、その例外ではない。小欄は今回、同展示会を現地で取材した。

米国サンフランシスコで開催されたPhotonics Westは、研究成果の発表や新技術の紹介にとどまらず、産業化を明確に意識したビジネスの集積の場へと変化している。会場を歩いて感じたのは、フォトニクスが一部の先端分野に限定された技術ではなく、半導体、医療、通信、エネルギーなど幅広い産業の競争力を左右する基盤技術として、確実に存在感を高めていることだ。
市場づくりに遅れる日本
展示内容を俯瞰すると、半導体製造装置向けの光源や検査技術、量子関連の計測・制御技術、バイオ・医療分野における光計測やイメージングなど、実装段階を強く意識した提案が数多く見られた。単なる要素技術の性能競争ではなく、製造プロセスのどこで使われ、どの工程の効率や品質を高めるのかを具体的に示す展示が増えている点が印象的であった。
こうした世界の潮流は、日本市場とも密接に関係している。材料、部品、装置といった分野で高い競争力を有する日本企業にとって、米国市場で示される技術トレンドは、自社技術の立ち位置や投資判断を見極める重要な指標となる。一方で、海外需要への対応が先行するあまり、国内での技術実装や市場形成が十分に進んできたとは言い難い。研究開発の成果を国内で事業化し、持続的な需要へと結び付ける仕組みづくりは、依然として大きな課題として残されている。
その意味で、国内の政策動向は無視できない。近年、経済安全保障や産業競争力の強化を背景に、先端技術を国家としていかに支えるかが重要な論点として繰り返し議論されてきた。高市政権が掲げる政策の中には、半導体、量子、通信といった分野が含まれており、それらを下支えする基盤技術としてフォトニクス関連分野も明確に位置付けられている。技術の重要性に対する認識は示されてきたが、それをどのように具体的な施策へ落とし込むかが問われている。
宇宙を含む戦略分野とフォトニクス
加えて、宇宙分野も見逃せない。近年、衛星通信や地球観測をはじめとする宇宙利用が急速に拡大する中で、光通信、光計測、光センサーといったフォトニクス技術の重要性は一段と高まっている。高市政権が重視する宇宙政策においても、民間活力の活用や産業基盤の強化が掲げられており、フォトニクスはその中核技術の一つと位置付けられる。宇宙を含む戦略分野全体を見渡した技術政策が、日本の競争力を左右する局面に入りつつある。
Photonics Westで示された世界の動きは、技術力だけでは市場を獲得できない現実を突き付けている。研究開発力を産業競争力へと導くためには、政策による長期視点に立った政策判断と、継続性のある支援が不可欠である。



