【主張】科学技術力の低迷に歯止めを

高市早苗氏が憲政史上初となる女性首相となり,日本の「新たな時代」が幕を開けた。公明党の連立離脱,そして日本維新の会の合流という紆余曲折を経て誕生した高市政権だが,目の前には物価高対策,外交・安全保障,社会保障政策など課題は山積しており,これらの難題を克服するために取り組むべきことを一言で表すならば「国力の復活」に尽きる。

国力という言葉には,政治力,経済力,防衛力など多様な要素が含まれる。国際社会における発言力もある意味で国力といえるだろう。高市首相には,これらを前に進めるとともに,ぜひ科学技術力の低下に歯止めをかけ,科学技術立国ニッポンの復活につなげてもらいたい。

高市首相は,第1次安倍内閣,第2次岸田内閣で,内閣府特命担当大臣として科学技術政策を担当。2年前の2023 年4 月には日本初の核融合戦略となる「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を取りまとめたほか,量子技術の実用化・産業化にむけた実行計画「量子未来産業創出戦略」を策定するなど科学技術政策に明るい。

高市氏の著書(編著)「国力研究 日本列島を,強く豊かに。」(産経新聞出版)でも,注目度の高い論文数(上位10%に引用される論文数)で,2021 ~ 23年の日本の平均順位が世界13位と3年連続の過去最低水準に陥ったことに対し,〈定量的に把握しやすい指標のみをもって一面的に判断すべきではないのですが〉と前置きした上で,〈日本の研究水準の相対的な立ち位置の低下に相当な危機感を持っています〉と,日本の科学技術の現状について的確に把握されている。

それだけに12 月に閣議決定される来年度の政府予算案では,経済安全保障や農業,インフラ整備,医療・介護だけでなく,科学技術関連予算にも光を当ててもらいたい。例えば,8 月に文部科学省が来年度予算の概算要求に盛り込んだ「科学技術予算」は1 兆1850 億円。これは今年度予算の概算要求時(1 兆1820 億円)に比べ,わずか30 億円しか増えていない。

科学技術関連予算は文部科学省以外にも複数の省庁が計上するものの,それでも宇宙やAI(人工知能),量子,核融合など先端科学分野でしのぎを削る米中をはじめ主要各国と比較すると,その規模は大きく見劣りする。「国力を高めるために日本が今,注力すべきは科学技術力だ」。与党のある有力議員がこう話していたが,その通りである。

来年度からは5 年間の第7 期科学技術・イノベーション計画(2026 ~ 30 年度)が始動する。内閣府が9月に公表した骨子案では,科学技術政策と国家安全保障政策を有機的に連携させる,いわゆるデュアルユース(両用)の方針が初めて明記された。科学技術政策が転換点に立つ中,高市首相の強力なリーダーシップを期待したい。

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