阪大、半極性面InGaNとメタサーフェスで円偏光の課題を解決

大阪大学大学院工学研究科の市川修平准教授、村田雄生氏、小島一信教授らの研究グループは、アルバックの戸田晋太郎氏と協力し、半極性面InGaN量子井戸とストライプ型メタサーフェスを組み合わせた新しい高効率円偏光源の開発に成功した(ニュースリリース)。

(図)本研究で提案する半極性面InGaN円偏光LED。光出射面上にストライプ型メタサーフェスを直接積層することで高効率なLEDを実現可能

次世代の光技術において、円偏光はAR(拡張現実)やVR(仮想現実)、3Dディスプレイ、量子情報通信など多岐にわたる分野で重要な役割を果たすと期待されているが、従来のLEDは無偏光な発光から円偏光成分を抽出する方式であったため、変換効率が理論限界の50%に制限されるという課題があった。

本研究では、通常よりも傾けた結晶面である「半極性面」上に窒化インジウムガリウム(InGaN)系LEDを作製することで、半導体の電子状態に由来する直線偏光の発光を得ることに着目した。この光出射面に、光の位相を制御するナノ構造体である「ストライプ型SiNₓメタサーフェス」を直接形成し、これが1/4波長板として機能するように最適化した。この結果、直線偏光をロスなく円偏光へと変換する新たな経路を確立し、室温下で円偏光度0.27、偏光変換効率68%を実証した。これは従来の抽出方式の限界を超えた画期的な成果である。

(図)LED構造上に実作したメタサーフェス構造 (走査型電子顕微鏡での観察像)

本技術は単層のメタサーフェスを積層するだけの簡素な構造であり、既存の半導体製造プロセスとの親和性も高いことから、将来的な量産化やマイクロLEDなどの小型デバイスへの応用が期待される。デバイスの耐久性向上や高集積化も容易であり、高効率な円偏光源の実現は次世代光アプリケーションの発展に大きく貢献するものである。

(図)室温下で実測定した右回り円偏光を示す発光スペクトル
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