植物と光の関係、光合成から次世代植物工場へ

5月4日は「みどりの日」ー自然に親しみ、その恩恵に感謝する日として、植物や環境について考える機会でもある。植物の成長を支えているものの一つが「光」である。太陽光を受けた植物は、光合成によって二酸化炭素と水から糖やデンプンをつくり出し、自らの生命活動を支えている。私たちが日々口にする野菜や果物、穀物も、元をたどれば光のエネルギーを利用して育ったものである。

光合成は、自然界における最も身近で重要な光エネルギー変換の一つである。植物は、光の強さだけでなく、波長、照射時間、環境条件に応じて成長の仕方を変える。赤色光や青色光は光合成や形態形成に深く関わり、光の当て方は作物の生育、品質、収量に影響を及ぼす。つまり、植物にとって光は単なる明るさではなく、成長を制御する情報であり、エネルギーでもある。

この「植物と光」の関係を高度に利用する技術として注目されているのが植物工場である。植物工場では、光、温度、二酸化炭素、栄養分などを精密に制御し、天候に左右されずに作物を安定生産することを目指す。気候変動による異常気象、野菜価格の変動、食料供給の安定化といった課題を背景に、植物工場は持続可能な農業の一つとして関心を集めている。

植物工場において、光源は中核的な要素である。従来、人工光型植物工場ではLEDが広く用いられてきた。LEDは省エネルギー性や波長選択性に優れ、作物ごとに適した光環境を設計できる。しかし、植物工場の普及には、エネルギーコストの低減や生産効率の向上が欠かせない。そこで近年、LEDに加えて、より高効率に特定波長の光を供給できるLD(レーザーダイオード)を植物栽培に活用する研究も進められている。

LDは、特定の波長の光を高い指向性で発生できる光源である。植物の光合成に適した波長を効率よく与えることができれば、作物の成長促進やエネルギー利用効率の向上につながる可能性がある。光通信や計測、加工などで発展してきたレーザー技術が、農業や食料生産の分野にも広がりつつある点は、光技術の応用領域の広さを示すものでもある。

また、植物工場は光源だけで成り立つものではない。温度、湿度、二酸化炭素濃度、養液、気流、作物の生育状態などを計測し、制御する技術が必要である。ここには各種センサー、画像計測、分光計測、環境モニタリング、データ解析など、光計測・センシング技術が関わる。植物の状態を「見る」技術と、植物に適した光を「与える」技術が組み合わさることで、次世代の植物生産システムが形づくられていく。

都市型農業や閉鎖環境での栽培、さらには宇宙農業を考えるうえでも、植物と光の関係は重要である。限られた空間や資源の中で、どのように効率よく植物を育てるか。その課題に対して、光合成の理解と光源技術、環境制御技術が大きな役割を担う。みどりの日に植物を見るとき、その葉に届く光の中には、自然科学と光技術の接点がある。

光合成は、植物が太陽光を受けて成長する身近な現象である。その一方で、光源、計測、制御、データ活用を組み合わせれば、食料生産を支える先端技術にもつながる。みどりの日をきっかけに、植物と光の関係を改めて見つめ、次世代植物工場が拓く光技術の新しい応用領域に目を向けてみたい。

オプトロニクス社では、こうした植物工場と光技術の最新動向を学べるアーカイブビデオセミナー『植物工場2.0 ~LDが拓く光合成制御と次世代植物工場~』を、2026年5月29日(金)から6月12日(金)まで配信する。2025年12月に開催されたセミナーを収録したもので、開催期間中はオンデマンドで視聴できる。申し込みはこちら

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