宇宙の見えないものをレーザー干渉計で探る

こうした極限的な計測技術を用いると,重力波だけでなく,宇宙の見えないものや新しい物理法則を探索することができるのではないか,という発想で私たちはレーザー干渉計を用いたさまざまな実験を行っている。その一つが,アクシオン場の振動によって光の偏光面が周期的に回転することを利用したアクシオン探索である。

図4 レーザー干渉計型重力波望遠鏡の模式図。重力波による干渉縞の変化を検出する重力波検出ポートや腕共振器の透過光ポートに偏光子を導入することで,重力波観測に加えてアクシオン探索も可能となる。写真はX腕共振器の透過光ポートに導入した偏光光学系(撮影:Haoyu Wang)。
図4 レーザー干渉計型重力波望遠鏡の模式図。重力波による干渉縞の変化を検出する重力波検出ポートや腕共振器の透過光ポートに偏光子を導入することで,重力波観測に加えてアクシオン探索も可能となる。写真はX腕共振器の透過光ポートに導入した偏光光学系(撮影:Haoyu Wang)。

LIGO,Virgo,KAGRAのようなレーザー干渉計型重力波望遠鏡では,図4に示すように,マイケルソン干渉計の各腕にファブリ・ペロー共振器を備えたファブリ・ペロー・マイケルソン干渉計が用いられている。合わせ鏡の間を何度もレーザー光が往復することで実効的な腕の長さを増やし,重力波による干渉縞の変化を増幅しているのである。同様に,レーザー光が腕共振器内を何度も往復する間,アクシオンとの相互作用によって生じる偏光面回転も増幅されるため,腕共振器の透過光や反射光の偏光を高精度に測定することで,アクシオンを高感度に探索することができる。

図5 KAGRAやDANCEによる探索で期待されるアクシオン−光子結合定数に対する感度。下に行くほど高感度となり,より弱いアクシオンと光の相互作用を探索できる。塗りつぶされた領域は太陽アクシオン探索実験CASTやさまざまな天体観測,地球磁場観測によってすでに除外されている領域を示す10)。周回長1 mのDANCEプロトタイプ実験で2021年5月に得られた初の上限値8)と,その後の期待感度の進展も示している。期待感度はいずれも1年間の観測を仮定している。
図5 KAGRAやDANCEによる探索で期待されるアクシオン−光子結合定数に対する感度。下に行くほど高感度となり,より弱いアクシオンと光の相互作用を探索できる。塗りつぶされた領域は太陽アクシオン探索実験CASTやさまざまな天体観測,地球磁場観測によってすでに除外されている領域を示す10)。周回長1 mのDANCEプロトタイプ実験で2021年5月に得られた初の上限値8)と,その後の期待感度の進展も示している。期待感度はいずれも1年間の観測を仮定している。

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