宇宙の見えないものをレーザー干渉計で探る

3. 重力波観測技術でアクシオンを探る

図3 マイケルソン干渉計の原理。X腕とY腕の長さの差を干渉縞の変化として測定することができる。
図3 マイケルソン干渉計の原理。X腕とY腕の長さの差を干渉縞の変化として測定することができる。

レーザー干渉計の中でも最も代表的なものが,図3に示すマイケルソン干渉計である。この干渉計を用いて1887年に行われたマイケルソン・モーレーの実験は,光速が観測者の運動によらず一定であることを示し,後の特殊相対性理論につながった。また,2015年に重力波の初検出に成功したアメリカにある重力波望遠鏡LIGOも,このマイケルソン干渉計に基づいている。

マイケルソン干渉計では,レーザー光源から出た光はビームスプリッターで二つに分けられ,一方はY腕へ反射され,もう一方は直交するX腕へ透過する。光はそれぞれ両腕の端に置かれた全反射鏡で折り返され,再びビームスプリッターで合流する。その一部は光源側へ戻り,残りは光検出器へと進む。二つの光が通った経路の差によって干渉縞が変化するため,光検出器で検出される光量を測定することで,両腕の長さの差動変動を極めて高い精度で測定することができる。

さて,重力波とは一般相対性理論から導かれる時空のさざなみである。一般相対性理論によると,重たい星やブラックホールの周りの時空は歪む。こうした天体が運動すると,時空の歪みの変化が波となって宇宙空間を伝わるのである。この重力波によって生じる長さの変化は極めて小さく,2015年にLIGOが初検出した重力波では,腕の長さ4 kmがわずか約10–18 mだけ伸び縮みしたに過ぎなかった4)。これは地球から約14億光年離れた場所で,約35太陽質量と約30太陽質量の二つのブラックホールがお互いの周りを回って合体した際に放たれた重力波であった。現在ではイタリアにあるVirgoや日本の岐阜県神岡にあるKAGRAも国際重力波観測ネットワークに加わり,こうしたブラックホール連星合体からの重力波はすでに300例以上検出されている。アインシュタインが重力波の存在を予言してから初検出までには実に約100年がかかったが,一度その検出に成功すると,重力波は次々と検出されるようになった。計測技術の着実な進歩が,これまで直接見ることのできなかったブラックホールを観測することを可能にし,新しい宇宙の窓を開いたのである。

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