沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究グループは、3次元のカオス的マイクロキャビティを損傷することなく画像化・解析する手法を開発した(ニュースリリース)。

光学の世界では、マイクロキャビティと呼ばれる微小共振器(多くの場合、髪の毛ほどの幅しかない)が、レーザーからセンサーに至るまで、さまざまな技術において重要な役割を果たしている。球状マイクロキャビティでは光を内部に閉じ込め、その境界内で何百万回も循環させることができる。
形状が完全であれば、内部の光は滑らかな円軌道を描いて伝搬する。しかし、対称性がわずかに破れると、光は予測不能な挙動を示し始め、カオス的な経路をたどるようになる。これにより、一方向レーザー発光や光と物質の相互作用の強化といった、驚くべき現象が生じることがある。
これまで、カオス的な挙動に関する研究の多くは、平坦な2次元マイクロキャビティに焦点を当ててきた。これらは顕微鏡下で形状を視認・測定しやすく、研究が比較的容易。一方、あらゆる方向に変形が生じ得る3次元マイクロキャビティにおけるカオス的挙動は、これまでほとんど未解明だった。
試料を切断したり損傷したりせずに内部構造を捉えることは困難であり、光が内部でどのように振る舞うのかを理解することは難しい状況だった。
研究グループは、3次元のカオス的マイクロキャビティを損傷することなく画像化・解析する手法を開発した。医療や材料科学の研究現場で広く使われているX線マイクロコンピュータ断層撮影法(μCT)を用いて、わずかに変形した球状マイクロキャビティをスキャンした結果、サブミクロン精度で完全な3D形状を再構築することに成功した。
この詳細な形状モデルを用いて、変形した共振器内部における光の伝播を計算した。その結果、形状が複数方向に歪むと、光は単に無作為に反射するだけでなく、アーノルド拡散と呼ばれる過程を通じて空間全体に広がることが明らかになった。これは、3次元におけるカオス的な光の振る舞いに関する長年の理論的予測を裏付ける成果となっている。
研究グループは、このような複雑な構造体における光の振る舞いを測定し、予測する能力は、基礎科学と応用技術の両面において新たな可能性を切り開くとしている。



