本田財団は,2025年の本田賞を垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)の着想と研究における先駆的貢献と,その実用化を先導した伊賀健一氏(東京科学大学栄誉教授・旧東京工業大学 第18代学長)に贈呈することを決定した(ニュースリリース)。
本田賞は,エコテクノロジーの観点から,次世代の牽引役を果たしうる新たな知見をもたらした個人またはグループの努力を評価し,毎年1件その業績を讃える国際褒賞。
特徴は,いわゆる新発見や新発明といった狭義の意味での科学的,技術的成果にとどまらず,エコテクノロジーに関わる新たな可能性を見出し,応用し,共用していくまでの全過程を視野に,そこに関わる広範な学術分野を対象としているところにある。
半導体レーザーは,一辺が1mmにも満たない小さな素子で,一般的な電子回路と同程度の電源で動作するレーザー発振器。現在では,光ファイバー通信やDVDなどの光ディスクの読み取りなど,生活や産業の幅広い分野で利用されている。
半導体レーザーの技術は,伊賀氏がVCSELを提案したことにより,従来にはない「1つの波長を安定して発振できる」「大量生産が容易」「波長を連続的に変化させることができる」「電力消費量が小さい」といった特長を備え,実用化に大きく貢献したとする。
従来の半導体レーザーは,基板に対して水平方向にレーザーを発するが,VCSELは垂直方向に発する。レーザー素子が小型であるため,1つのチップ上に多数のレーザー素子を高密度に配置することが可能。自動車のボディ周辺(数十cm~数m)の状態を高精度に把握する近距離LiDARにおいて,VCSELは欠かせない技術となっている。
高密度配置とすることで広範囲を多点同時に照射でき,瞬時のスキャンが可能。さらに,波長のばらつきが少ないため,高精度な測定が可能であることも大きな特長の一つ。また,小型・薄型であるためバンパーやミラー,ドアへの組み込みが容易であり,消費電力が少ないという点も,自動車向け部品として非常に優れた特性だとしている。




