愛媛大学の研究グループは,有機分子を使い,通常の物質にはない性質を示す,光子と電子の中間のような,ふしぎな電子を実現することに成功した(ニュースリリース)。
今回こうした電子が発見された一連の物質には,新しく合成された物質も既知の物質も含まれている。これらに共通するのは,バンド構造と呼ばれる,物質中の電子の分布がかなり特異的であり,ディラック電子系と総称される物質群に属する可能性だった。
それらの電気や磁気に関する性質(電子物性)を調べたところ,すべてに共通する特徴的な磁性が見つかった。それは金属とも金属以外の物質とも異なる振舞だった。金属でも金属以外でもない物質というのはない。
そこに注目した研究グループは,その原因を突き詰めていくうちに,これらの物質内では電子物性を担っている電子は,予想通りディラック電子と言われる特殊な電子で,あたかも電子と光子の中間のような振舞いをしていることが分かった。
例えば,物質中を動き回る速さは光よりは遥かに遅く,普通の物質中の電子よりははるかに速い,質量が通常の物質中の電子よりはかなり軽いが光子のようにゼロではないといったユニークな特長となっている。
ディラック電子を含む物質は無機物でも知られ,世界中で研究されているが,有機物を使うと電子物性をグラデーションのように変えることができ,今回のように光子と電子の中間のように振舞う電子を物質中に生じさせることができた。
研究グループは,更に関連物質を合成すれば,また違う振舞を示す新たな電子が見つかる可能性もあり,今後の展開が期待されるとしている。




