阪大ら,重い電子が量子もつれ状態にあることを発見

著者: 梅村 舞香

大阪大学と広島大学は,重い電子系と呼ばれる物質群の一つであるセリウム・ロジウム・スズ合金(CeRhSn)の中で強く相互作用した電子が強い量子もつれ状態にあり,その寿命がプランキアン時間に従うことを初めて観測した(ニュースリリース)。

レアアース(希土類元素)は,身の回りにある強力な磁石であるネオジム磁石や高輝度な蛍光材料など,電子機器や自動車といった,現代社会を支えるデバイスに欠かせない材料となっている。

その性質は,希土類元素が内包する局在的な開殻4f電子の振る舞いに強く由来している。また,希土類化合物では,物質内部を伝導する電子の重さ(有効質量)が電子の静止質量と比べて数千倍にも増大する,重い電子が出現することが知られている。

この重い電子も,4f電子の局在性が近藤効果により伝導電子に移されることに由来している。このような物質系では,従来の理論で説明できない超伝導や巨大磁気応答などの興味深い量子臨界現象が現れるため,多くの研究者を魅了し盛んに研究されてきた。

量子臨界現象が現れる条件として,絶対零度近くの極低温まで近藤効果が発達し続けることで,非フェルミ液体状態が出現することが知られている。この非フェルミ液体状態では,重い電子の寿命が量子力学の不確定性原理に基づいたゆらぎである,プランキアン時間で制限されているという理論的な予測はあるものの,実験的には観測されていなかった。

Kelompok peneliti melakukan penelitian tentang keadaan elektronik cerium, rhodium, dan paduan timah (CeRhSn), yang keadaan cair non-Fermi muncul dari suhu yang relatif tinggi. Cerium adalah sejenis tanah jarang, dan senyawa yang mengandungnya secara historis telah menjadi subjek banyak penelitian sebagai tahap pembentukan elektron berat dan fenomena kritis kuantum.

今回CeRhSnの直入射反射率スペクトルを精密に測定し,そこから得られた光学伝導度スペクトルを解析したところ,非フェルミ液体状態が室温付近まで現れることがわかった。また,重い電子の寿命がプランキアン時間にほぼ一致していることがわかった。さらに,得られたスペクトルが一つの関数で説明できることもわかった。

研究グループは,これにより,新奇超伝導などの物性物理学に残された量子臨界現象への量子もつれの役割の解明が進むとともに,重い電子という新たな方法による量子コンピュータへつながることが期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 量子産業の未来図を描く

    量子への注目が世界的に高まるなか,トプティカフォトニクスのレーザーシステムが存在感を増している。日本での展開をさらに加速させているPresident and Chief Sales Officerのトーマス・レナー氏に,…

    2026.01.13
  • 京都大学など、人工次元で乱れに強い「トポロジカル原⼦レーザー」の発振に成功

    京都⼤学と東北⼤学は、極低温のルビジウム原⼦を⽤いた実験により、トポロジカル原⼦レーザーの発振に成功した(ニュースリリース)。 量⼦⼒学の世界において、外部環境とのエネルギーの出⼊りがある系は⾮エルミート量⼦系と呼ばれる…

    2026.01.13
  • 横国大とKEK,量子科学に関する研究を推進するための連携協定を締結

    横浜国立大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は,2025年10月17日に量子科学に関する研究を推進するための連携協定を締結した(ニュースリリース)。 世界的に注目されている量子技術は,未来社会に向けて革新的なイノベ…

    2025.11.10
  • フォトニクスのアカデミー賞、SPIEプリズムアワード2026の最終候補者が決定

    国際光学・フォトニクス学会(SPIE)は,2026年Prism Awards(プリズムアワード)の最終候補製品を発表した。 Prism Awardsは「フォトニクスのアカデミー賞」とも称される国際的な表彰制度であり,光学…

    2025.11.07
  • 量子研究の卓越を称えて――TOPTICA,BEC 2025で画期的成果を表彰

    光学技術メーカーのTOPTICA Photonics SEは,スペインで開催された国際会議「Bose-Einstein Condensation 2025(BEC 2025)」において,超低温量子ガス分野で顕著な業績を挙…

    2025.10.27
  • 科学大,進化した量子誤り訂正法を考案

    東京科学大学の研究グループは,大規模量子計算の実現に不可欠な「量子誤り訂正技術」において,理論上の性能限界に極めて近い効果を持ちながら,高速に訂正する手法を発見した(ニュースリリース)。 実用的な量子アプリケーションの多…

    2025.10.22
  • NICT,単一光子の和周波で量子もつれ交換に成功

    情報通信研究機構(NICT)は,単一光子間の和周波発生を用いた量子もつれ交換の実証に成功した(ニュースリリース)。 量子通信や量子計算のような量子情報処理分野では,2つの量子ビット間でのゲート操作が重要な基盤技術となる。…

    2025.10.14
  • 東大ら,電子の自転公転のもつれを放射光X線で観測 

    東京大学,高輝度光科学研究センター,近畿大学,東北大学,理化学研究所は,ランタノイド元素周りに存在する4f電子の空間的な広がりを世界で初めて直接観測した(ニュースリリース)。 4f電子は,4f軌道に入る電子で,外側の軌道…

    2025.10.14

新着ニュース

人気記事

新着記事

  • オプトキャリア