NTTは、光ネットワークの受信端に設置する小型光トランシーバだけで、通信しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を、世界で初めて通信用デジタル信号処理チップに搭載したと発表した。専用測定器を使わずに光ネットワークの異常箇所を自動で特定できる技術で、AI時代を支える大容量光ネットワークの常時監視や運用保守の効率化につながるとしている。

AI需要の拡大に伴い、データセンタ間光ネットワークや基幹光ネットワークの大容量化、広域化が進んでいる。こうした光ネットワークを安定して運用するには、光信号パワーをネットワーク全長にわたって把握し、異常な損失箇所を早期に見つける必要がある。従来はOTDRなどの専用測定器による測定作業が必要で、通信サービスを提供しながらエンドツーエンドで常時監視することは難しかった。
NTTはこれまで、光トランシーバで受信する通信信号だけから光ネットワーク全長の光信号パワーを可視化する技術を開発してきたが、計算処理量が大きく、外部計算機を用いた原理実証にとどまっていた。今回、独自技術により可視化に必要な計算処理量を従来比100分の1に削減し、消費電力や実装面積の制約が厳しい通信用DSPチップと小型光トランシーバへの搭載を可能にした。
同社は、NTTイノベーティブデバイス製の800GコヒーレントDSPチップにこの機能を実装し、小型プラガブル光トランシーバにより実証を行なった。その結果、標準的な通信信号である800ZR+/400ZR+を受信、処理するだけで、最大1,005kmに及ぶ光ネットワーク上の複数の光パワー異常を位置特定できることを確認した。また、測定結果は専用測定器による測定結果と良好に一致し、異常箇所の特定に十分な精度を持つことも示した。

さらに、他社製光トランシーバからの送信信号を受信した場合にも正常に動作し、マルチベンダ環境を含む実ネットワークへの適用可能性を確認した。測定中に通信品質や消費電力への影響がないことも確認しており、通信を継続しながら光ネットワーク全長を分布的にモニタリングできるとしている。
NTTは今後、IOWN APNをはじめとする光ネットワークへの実装を進め、光トランシーバが自ら異常を見つけることで、大容量光ネットワークの常時監視と自律運用の実現に向けた研究開発を加速する。



